ふざけんなぁ!! 6
自分に怯える小動物に付き合うのが馬鹿らしくなり、ぽいっとソファーにドライアーを投げ捨てた。
どうせ季節は夏、仔猫だって風邪もひくまい。自然乾燥で十分だ。
【野球中継】か【生き物地球紀行】でも見て心を落ち着かせようと、TVのコントローラーを探していたら、仔猫が掻き出した帝人の荷物の一角で、一枚のプリントを見つけてしまった。
文字を追った途端、またぴきぴきと額に血管が浮き出てきたのをはっきり感じる。
それは三者面談時に使用すると思わしき、進路希望の用紙だったのだ。
第一志望、マサチューセッツのカレッジ進学。
第二志望、筑波大学……。確かここも東京じゃ無かった筈。
第三志望で、かろうじて来良大学の名が挙がっていたが、そうなれば臨也の後輩になるのが決定で、それもなんか悔しすぎる。
(ふざけんなぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!)
静雄のむかむかはとうとうピークに達した。
固定電話の前に置いてある、ペンたての中から、赤マジックを引っ張り出す。
「てめぇの進路はこれだけだ!!」
第一志望から第三希望まで、大きく×を書き込み、でかでかと『平和島静雄の嫁』と書き殴った。
作品名:ふざけんなぁ!! 6 作家名:みかる