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うわさのサチコ

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 屋上でいつものようにツナと獄寺と三人で昼飯を食ってた時のことだった。
 オレはもう既に弁当を食べ終わって食後の牛乳を飲んでいて、獄寺に至ってはとっくに食べ終わって(獄寺の昼飯はいつも少なすぎる)そわそわとしていた。食後の煙草が吸いたいけどツナがまだ弁当を食べているので我慢してるってトコだろう。ツナに対してはとことん律儀な奴だ、ホント面白れぇ。
 そのツナが最後の玉子焼きを箸で摘みながら、思い付いたというように話し始めた。
「そういや最近、獄寺君呼び出し受けてないよね」
「そーっすね。十代目のご命令通り、最近はあんま喧嘩しないように心がけてるんで」
 唐突なツナの質問に、獄寺はのんびりと殊勝なことを口にした。
 いや、獄寺、お前それは単に呼び出しするような相手は潰しきっただけで、街中ではしょっちゅう絡まれてるじゃねーか。花火は確かに控えてるかもしれないけど、相手がボロボロになってるってとこは同じだろう。オレは知っている。
「えっ、違う違う。そっちじゃないよ」
「へ?」
「女子にあんま呼び出されてないなぁって」
 たまにあちこちに傷を作ってるのでツナも獄寺の喧嘩のことは分かってるはずだろう、でもツナが指摘した所はオレが思っていたことは違う部分だった。
「ああ、そっちスか。あいつ等もようやくオレが十代目一筋だってことが分かったんじゃないですかね」
「獄寺君……それの言い方は、ちょっと……うん、人聞き悪いからね」
「ははっ、獄寺はツナ大好きだからな」
「まぁな、ってテメーは会話に入ってくんじゃねぇ!」
「まぁまぁ、いいじゃねーか」
 本当に獄寺はツナ一直線で、ツナしか見えていないのだ。間違ってないと思うんだけど、ツナとしては複雑らしい。
 オレのことは冷静に見てたりするのにツナのことになると途端におかしな方向に突っ走るんだから獄寺は面白い。ツナに対しては空回ってるとも言うのかな。
 オレが会話に混ざると、ツナがオレの顔を見て不思議そうに呟いた。
「……山本も最近プレゼント貰ったりとか減ってない?」
「ん? そういやそーかな? あんま気にしたことねぇから分かんねぇけど、そうかもな」
「へっ、ようやくお前がただの野球バカだって分かったんじゃねぇのか」
「まぁ、練習する時間削られねーからちょうどいいよ」
「偉っそうに」
「あ、でもお前等と遊ぶ時間ならあるぜー?」
「いらねーよ! 十代目はオレがお守りするからテメェはずっとボールでも追っかけてろ!」
 背後から二人に腕を回して言うと、言葉はキツいけど獄寺は無理やり振り払ったりしなかった。ツナも一緒に抱き込んでるから暴れたらツナにも迷惑がかかるからだ。
 こういうことは気が付くんだけどなぁと思ってツナの方をチラッと見ると、困ったように微笑みかけていて、オレもつられてへらっと笑った。

作品名:うわさのサチコ 作家名:高梨チナ