春の青
その日の給食当番。臨也は帝人と一緒に食パンを運んでいた。丁度クラスへと入ったときに帝人が足を捻って転んでしまう。
「「あっ」」
臨也と帝人の声が重なった時、食パンが床に散らばってしまう。臨也と帝人はしゃがみ込み食パンをかごに戻していく。
その時、またしても先程の男子が懲りもせず騒ぎ出した。
「初めての共同作業でーす!!けーっこんけーっこん!!」
取り巻き達は臨也を怖れているのかわたわたとしているだけで、はやしているのはその男子一人きり。
彼もそうとう意地に来ているのだろう。臨也はため息を吐きながら、パンをかごに戻していく。
「帝人君気にしなくて良い、」
よ、と言おうとした臨也の言葉が止まった。パンをかごに戻してた手も止まる。
帝人の瞳が涙で揺れ、顔を真っ赤にして俯いている。臨也の中で、朝に味わったあの強烈な感情が身体の中でのたうち回った。
頭の中が鈍器で殴られたかのように痛み出す。臨也はゆっくりとと立ち上がり、ちゃかしてた男子の方へ向かってズンズン歩いていく。
「な、なんだよ?」
臨也はぎっと相手を睨み付けると、そのままその男子を殴り倒した。
辺りが一瞬で静まりかえる。臨也は倒れた男子を見下しながら、残虐な考えを頭の中で巡らしていく。
(あぁ、むかつくむかつくむかつく・・・・っ)
けれど臨也がまたその男子を殴ろうと馬乗りになると、その男子が叫び声を上げた。それをかわきりに女子達が悲鳴を上げる。
ほかの男子は臨也を引き離そうとするが、馬乗りになっている男子の胸ぐらを掴んだままなので離れようとしない。
クラスが凄く騒がしくなったことに気が付いた隣のクラス担任が漸く駆けつけてくれたときには臨也は男子生徒の顔をもう1発殴った後だった。