君が愛しいと気づいたから
「ごめん、なさい」
いきなり謝りだす彼女に、今度は俺がおかしくなりそうだ。
何がどうなってる。そう聞きたくても、なんて言えばいいかわからない。
だけど次のルーシィの言葉で俺は無意識に彼女の頬を叩いていた。
無意識だったけれど、一応加減はしていたようで平手打ちだった。
「ナツの迷惑にならないように…この子を、殺す…から、っ!」
パチンッとかなり大きな音が聞こえて彼女の頬を見れば、もう真っ赤になっている。
だが、そのことを気にかけられないほど、俺は怒っていた。
「殺す…?お前、それ本気で言ったのか?」
「ナ、ツ…?」
「ふざけんなよ…なんでお前との子供を殺さなきゃなんねーんだ!」
怒りに任せて激昂した俺は彼女の肩を激しく揺さぶった。
ルーシィはただ呆然と俺を見ているだけだった。
だけどそんな彼女の頬に涙が流れたのを見て、俺は揺さぶる手を止めた。
ぼろぼろと涙を零すルーシィに俺は今までの怒りも忘れて戸惑った。
「なんで、泣くんだ」
こんな時、どうしたらいいのかわからない。
頭を撫でたらもっと泣かれて俺は困った。
作品名:君が愛しいと気づいたから 作家名:煉@切れ痔