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国城 龍耶
国城 龍耶
novelistID. 24182
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東方無風伝 1

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「外の世界、とは?」

 その言葉に引っかかるものが有ったため聞いてみる。
 外の世界に帰るとアリスは言った。俺が居た世界が『外の世界』と呼ばれていたなら、その理由は?
 外、つまりはこの世界は、俺が居た世界の中に存在していると言うのだろうか。

「あー、そうだなぁ……うーん」

 と歯切れ悪く悩む魔理沙。

「説明は難しいんだよ。霊夢なら出来そうだけど……」

「じゃあ、魔理沙が連れていけばいいじゃない」

「まぁ、そりゃそうだな。と言うわけで風間、霊夢のところに行くぜ」

「誰だそれは」

「紅白だぜ」

「紅白ね」

「紅白か」

 赤と白だけのシンプルな二色。それが『霊夢』ねぇ。
 なんじゃそりゃ。

「こっちだぜ、風間」

 魔理沙は外へと通じているだろう扉を開けて言った。彼女の空いた手にはあの箒が握られていた。
 先程箒で送ってくれると言っていたな。
 魔理沙に連れられて外に出る。
 空は青く晴れ渡っている。陽光に目が眩むくらいだ。陽の光が全身に沁み渡り、身体が温かくなってくる。
 白く冷たい雪を感じるよりも、こうして眩しく温かい陽を感じていたかったものだな。

「アリスはどうする、一緒に行くか?」

「私は面倒だからパスするわ」

「そうか。じゃ行ってくるぜ」

「行ってらっしゃい

 短い別れの挨拶を交わす魔理沙とアリス。
 そうだ俺も言わなければな。

「世話になったな、アリス。感謝するよ」

「良いのよ。困った時はお互い様よ」

「意外だな。冷たく言い返されると思っていたが、案外素直なんだな」

「な!?」

 顔を真っ赤にしてたじろぐアリス。
 アリスは一見冷たいように見えるが、実際はその逆だ。彼女の口調がそう思わせるだけで、優しい素直な娘だ。

「挨拶は済んだか?」

「ああ。待たせたな」

 へらへらと笑う魔理沙にそう返事をする。
 その笑みを見ていると、何か嫌な予感しかしない。

「さ、風間。これに掴まれ」

 と魔理沙が箒を横に持ち上げて言うので、言われた通りに箒を握る。

「良いか風間。絶対に離すんじゃないぜ」

 魔理沙がそう言ってくるので、箒を握る手にはより一層力が籠る。
 それを確認して、魔理沙は箒に跨る。

「……何を?」

「飛ぶぜ」

「テレポートとかじゃなくて?」

「なんだそれは」

 え、飛ぶの?てっきりテレポートか何かかと思ったが。
 それ以前に箒を掴んだまま飛ぶって危ないんじゃ。
作品名:東方無風伝 1 作家名:国城 龍耶