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国城 龍耶
国城 龍耶
novelistID. 24182
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東方無風伝 1

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「あんた、名前は」

「風間と言うが」

「そう、風間ね。魔理沙達からもう聞いただろうけど、私は霊夢よ」

「そうか、よろしくな霊夢」

「ええ、よろしく 風間。お賽銭はあちらだから、お賽銭入れたらとっとと帰れ」

「魔理沙、これは本当に巫子か?」

「失礼ね、私は異変を片づけて来たばっかりで疲れているの。人間一人の面倒なんて見てられないのよ」

「お、宝船は解決したのか。で、どうだった?なにか面白いことは有ったか?」

 そう口を挟むのは魔理沙。先程言っていた宝船とやらが気になっているようだ。

「見ての通り外れよ。なんか魔界まで行っちゃうし、変な奴を復活させたり、踏んだり蹴ったりよ」

「異変なんていつもそんなものじゃないか。吸血鬼が紅い霧を出したのも、亡霊が春を奪ったのも、宇宙人が月を隠したのも、みんな人外の我儘だろ。今回もそうだったんだろ?」

「まぁそうだけど」と同意する霊夢。
 魔理沙はまるで良くあることのように言ったが、吸血鬼に亡霊に宇宙人までもがこの幻想郷には居ると言うのか。それも、様々な異変を巻き起こしてまで、か。
 この幻想郷には、俺が元居た世界にはもう居ない存在が多いのだな。
 あの世界には、もう人外はほんの一握りしかいない。それに反し、この世界には数多くの人外が存在している。
 この世界は、正しく幻想郷なのだな。

「ええい、面倒だから簡単に聞くわよ。風間、あんたはどうしたいの」

「どうしたいって、一体何を」

「あんたの、今後のことよ。他の外来人同様、この幻想郷に住み着くのか、あんたが元居た世界に帰るのか。そのどちらかよ」

「帰れるのか、あの世界に!」

「帰れるわよ。あんたはどうせまた紫に落とされたんだろうから、結界を越えて来たんでしょう。同じように、また結界を越えればいいだけよ」

 まさか、帰ろうと思えば帰ることが出来るとは思ってもいなかった。霊夢に会えば、この世界について教えてもらえる。その程度だと思っていた。

「あんたは何処か、泊めてもらっているところは有る?」

「え?いや、無いが」

「なら、今日は泊っていきなさい。答えは明日聞くわ」

「ああ、解った」

 なんだか終始霊夢のペースに飲み込まれているような気もするが、
 答えを明日に聞くと言うことは、期限は明日までということだ。
 そんなに時間はいらないのだがなぁ。
 俺の答えは、聞かれたと同時に出ているから。
作品名:東方無風伝 1 作家名:国城 龍耶