二次創作小説やBL小説が読める!投稿できる!二次小説投稿コミュニティ!

オリジナル小説 https://novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
二次創作小説投稿サイト「2.novelist.jp」
国城 龍耶
国城 龍耶
novelistID. 24182
新規ユーザー登録
E-MAIL
PASSWORD
次回から自動でログイン

 

作品詳細に戻る

 

東方無風伝 1

INDEX|25ページ/30ページ|

次のページ前のページ
 

 
「あったかいな」

「これが有るから、何時も此処に来ちまうぜ」

「これぞ冬の醍醐味……」

「あんたらねぇ……」

 炬燵(こたつ)の温もりを感じる俺、蜜柑の皮を剥く魔理沙、眠そうな萃香、呆れ顔の霊夢の順にそう言った。

「そう言う霊夢とて、炬燵からはなかなか出られないものだろう?」

「まぁ、そうけどねえ」

「うえ、なんだこの蜜柑、すっぱいだけだぜ」

「文句言うなら食べなくて良いのよ」

「だが断るぜ。炬燵に蜜柑は冬の醍醐味。例え蜜柑どんなにすっぱくても外すことは出来ないものだぜ」

「まぁ、そうだけどねえ」

 と先程と同じような適当な言葉で同意する霊夢。そんな霊夢は、魔理沙に触発されたのか蜜柑の皮を剥き始めた。

「なんだ霊夢、妙にやる気が無いな」

「異変解決に疲れたのか?」

「そんなところかしらねぇ。まだ早いけど、もう寝ちゃおうかしら」

「そんな霊夢に!」

 突然、先程までくたりと眠そうにしていた萃香が、ばん!と卓を叩く。

「五月蠅いわねえ、何よ萃香」

「これでも一杯、どうよ」

 萃香が持ちだしたのは、先程も持っていた瓢箪。

「……えー」

 乗り気では無いようで、嫌そうな声を上げる霊夢。

「まぁいいじゃないか霊夢。風間の幻想入りを祝うっつーことで、呑もうぜ」

「あんた達が呑みたいだけでしょうー」

「風間はどうだ、呑みたいだろ?」

「まず、中身はなんだ」

「酒」と魔理沙と萃香に、同時に一言だけで返される。

「お前ら未成年だろう」

「外来人はよくそんなことを言うけど、幻想郷にはそんなものは無いぜ」

「ほれ」と萃香が酒を注いだ湯呑み。中身は透明で、一見する
と水のように思える。

「あったまるぜ」

「冷たいのはもうこりごりだが、その逆のトラウマを作るのも嫌だぞ」

「あんたも男なんだから、言い訳なしでさっさと呑みなさいよ」

「と霊夢も言ってるし、さあさあ」

「さあさあ」

「しつこい。何も呑まんとは言ってないだろう」

 そう言ってから、酒を仰ぐように口に運ぶ。
 滑らかに入り込み、ひやりとした冷たい感覚がした思えば、一転して苦く辛く熱くなる。

「げほっげほっ!」

「お、風間はもしや初めての酒だったかい?」

 萃香の言うとおり、酒を口にするのはこれが初めて。

「なら、酒の味を思い知らせてやるぜ」

 止めてくれ。真摯に、止めてくれ。
作品名:東方無風伝 1 作家名:国城 龍耶