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国城 龍耶
国城 龍耶
novelistID. 24182
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東方無風伝 1

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「……んが」

 一体いつの間にか眠ってしまっていたのか、眠りから突然目が覚める。
 涎を拭きながら起き上れば、目に着くのは辺りの惨状。
 周りにはごろごろと酒瓶が転がっており、大口開けて鼾(いびき)をかく萃香、酒瓶を抱き眠る魔理沙。どうやら、昨日は魔理沙達に酒を呑まされ、そのまま炬燵の中で眠ってしまったようだ。
 ……いかんな、昨日のことをよく思い出そうとするが、どうにも思いだせない。自分が何かやらかしたのではないかと不安になってくる。

「……まぁ、覚えてないわけだし」

 気にしたって、どうにかなるものではないだろう。昨夜のことは、覚えてなくても、忘れよう。

「あら、起きたのね」

「おや霊夢、早起きだな。それとも、俺達が寝坊介だったかな」

「両方よ。そもそも、あんたが私の代わりに魔理沙達の玩具にされていたし、お陰で私は自分のペースで呑めたし、あんた達ほど酔ってないのよ」

「そうか、そいつは羨ましい限りだなっと」

 そんな言葉とともに、立ち上がろうとするが同時に激しい頭痛が襲い、立ち上がること叶わずまた座り込んでしまう。

「いってぇ……」

「二日酔いね、待ってなさい、今水を持ってくるわ」「すまない、助かるよ」

 そう言って部屋を出て言った霊夢を見送る。
 ……さて、どうするか。
 霊夢が水を持ってくるまでは一分と掛らないだろうが、ちょいと暇になる。
 辺りを見渡してみれば、目に着いたのは眠る萃香。

「んえー」

「や、柔らかい……」

「何してんのよ」

「おお霊夢、柔らかい、柔らかいぞ」

「まあ、触りたくなるのも解るけどねえ」

 むにむにと弄るのは萃香の頬。やはり幼女の頬と言うのはとてつもなく柔らかく、人を魅了するものがある。

「んえー」

「ほら、萃香が嫌がってるじゃない」

 霊夢にそう言われ渋々とその手を離す。

「ほら、水」

「有難う」

 霊夢から水を渡され、それに口をつける。
 ただの水なのに、そのひんやりとした感覚にのどが洗われ、それが凄く旨く感じる。
 ふう、と一息吐く。

「あ、そうだ霊夢」

「なによ」

「昨日の話だが」

「昨日の?」

「俺は、幻想郷に残るよ」

「そう」と短く返された。

「帰りたくなったら、何時でも言いなさい。何時でも帰れるから」

「その時がきたら、よろしく頼む」

 霊夢にそう伝える。だが、それは言葉だけ。
 俺は、あの世界に戻るつもりなんて無いから。
作品名:東方無風伝 1 作家名:国城 龍耶