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国城 龍耶
国城 龍耶
novelistID. 24182
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東方無風伝 1

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 俺が元居た世界の人間と近い容姿をしているが、違うのはその羽と、空を飛ぶということだった。
 人がどうかは解らないが、この少女は言葉を発した。それなりの知能が有るということだ。幸いと少女が発した言葉を俺は聞き取ることが出来た。そして俺はその言語を話すことが出来る。
 即ち、会話を成立することが出来るかもしれない。

「あーっと、君」

「ん?」

「少し、聞きたいことが有るんだがいいかな」

「聞きたいこと?」

「そう、聞きたいこと」

「うん、いーよー。最強のあたいに解らないことなんてないんだから、何でも聞きなされ!」

 妙に自信満々に胸を張って言う少女。
 会話はきちんと成立している。俺の言葉は少女に伝わり、その逆もまた然り。
 このまま少女から色々とこの世界について教えてもらいたいところだが、はたして何処まで正確で多くの情報を引き摺り出せるか。
 子供の情報は酷く曖昧で不確かで法螺(ほら)が多い。全てを鵜呑みにすることは決して出来ない。

「それで、何を聞きたいの?」

「そうだな、まず君の名前を教えてもらっていいかな?」

「チルノだよ。おじさんは?」

「おじっ!」
 
 おじさんと俺は言われたのか?そうなのか?その意味は年配の男と言う意味なのか?

「お兄さんだ。チルノちゃん」

 お兄さんを強調して言うが、子供にとっては遊びに過ぎない。
 見た目はこの身体は、二十代前半の若い男の身体なんだがなぁ。

「おじさんの名前は?」

「俺か?そうだな」

 業(わざ)とらしく首を傾げ、自分が名乗るべき名前を考える。
 俺には名前なんてものは存在しなかった。あいつのせいで身体を持ってしまったことだし、何か適当な名前でも考えるべきだろう。

「チルノちゃーん」

「あ、大ちゃん、レティ」

 湖の方から声が聞こえたと思えば、二人の少女が飛んできた。
 一人はチルノと同い年と思われるくらいの幼い、緑色の髪の少女。チルノ同様、その背中には羽が生えている。
 もう一人は、少しおかしな帽子を被った少女。チルノ達よりも背丈が高い為、二人の少女よりも年上のように見える。保護者のような立場なのだろうか。
 どちらが大ちゃんで、どちらがレティかは解らないが、解ったことが一つ。
 羽が無くても空を飛べる。
 此処(ここ)では飛ぶのが常識、なのかな?
 後者はまだ自信が無いが、前者は年上の少女を見る限り間違いないだろう。
作品名:東方無風伝 1 作家名:国城 龍耶