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こらぼでほすと アッシー7

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 昨年のこの時期は、あまり具合が良くなかったから、別荘暮らしだった。子猫たちも組織に帰っていて、ひとりでのんびりと過ごして、年末に寺の大掃除に借り出され、そのまま年越ししたから、店の繁盛期間をちょうどスルーしていた。
「わかりました。野菜多めで用意しておきます。他には? 」
 もし、ウエイターが足りないなら、そちらも手伝いましょうか? と、親猫は申し出たが、それは忙しかったら、こちらから声をかけるから、ということになった。ロックオンは、滅多に店に現れない超レアなホストということで売り出しているので、店表には、あまり出て欲しくない。何日かに一度、少しだけウエイターをしてもらえば、その価値は、さらに上がるという営業部長様の売り出し戦略がある。というか、そういうことにしておいて、仕事は軽いバックヤードだけに限定させようというキラと悟空の魂胆があった。
「ホットサンド食いたい。チーズとトマトのやつ。」
「僕は、ハムとチーズ。シンは? 」
「俺、タマゴとトマト。レイは? 」
「ポテトサラダ。」
 年少組が、次々とリクエストを繰り出してくるから、ロックオンは、はいはいと厨房へと走る。食材はあるはずだから、それぐらいなら簡単なものだ。食パンの耳を切り落として具材を準備すれば、あっという間に出来上がる。なぜか、高級ホストクラブなのに、ホットサンド専用の機材まであるのが不思議だ。

 こんな調子で、毎日、リクエストされるおやつを作り、経理の仕事をしていると、あっという間に時間は過ぎていく。トダカと一緒に通勤して、早い時間にトダカと退けるから、労働時間も、それほどではない。
 数日、そんな調子で過ごしていたら、出勤した店の玄関に、人影が在った。人数は二人。扉の前で立って、片方が手を振っている。
「ようやく戻ったみたいだな? ロックオン。」
 人影を確認してトダカが微笑む。中東で時間を食っていたが、どうやら、無事だったらしい。近寄れば、ハイネと黒子猫だった。
「今日から、ホストに復帰します。」
「助かったよ、ハイネ。おかえり、刹那君。」
 トダカの挨拶を無視して、黒子猫は親猫の前に立って、その姿を見上げている。エクシアで飛び出した時と変らない状態の親猫に、ちょっと怒った顔になった。
「おかえり、刹那。」
「・・・・なぜ、弱ったままなんだ? 」
 挨拶もなしなのは、いつものことだが、それではいかんだろうと、ごちんと刹那の頭に拳骨を落として、「おかえり、刹那。」 と、もう一度言い直す。
「ただいま。」
「トダカさんにも。」
 挨拶ぐらい、ちゃんと返せと叱って、トダカのほうへ黒子猫の身体を向かせると、渋々といった体で、「ただいま。」 と、返事した。
「はい、よくできました。」
「ロックオン、なぜ、痩せたままなんだ?」
 飛び出した時より明らかに痩せている。あの後、アレルヤロストは発覚しただろうから、その余波はあっただろうが、それでも、これはないだろうと、黒子猫はむっとして尋ねる。
「回復が遅いから、すぐに元には戻んねぇーんだよ。」
「それなら仕事はするな。」
「今、忙しいから手伝ってるだけだ。ハイネも、ごくろーさん。」
「今日から間男稼業も再開するぜ? ママニャン。」
 中東からオーヴへの帰還コースを辿り、技術工廠へ、エクシアは預けてきた。これから、オーバーフォールをしてもらうから、しばらくかかる。刹那だけを、ストライクに乗せて、ハイネはラボへ引き返し、そこからヘリで戻って、たったいま着いたところだ。顔を見せておくなら、店に顔を出すのが手っ取り早いだろうと連れて来た。一応、あんまりにも汚かったから、別荘で黒子猫は洗浄して服も仕返させたのだが、用意していたのは以前のものだったから、少し窮屈そうだ。
「間男は、どうでもいいよ。・・・トダカさん、今日はマンションのほうへ戻ってもいいですか? こいつの服、あっちに用意してるんです。」
 予想はしていたから、少し大きめのものを用意している。新しいコートは、トダカ家にあるが、それよりも中の服のほうだ。
「ミーティングが終わったら服を買っておいで。まだ店は開いてる時間だから、今日と明日の分くらいなら調達できるだろ? マンションは、何もないから、ひとまず、うちに泊まるといい。」
 長いこと放置されているから、今夜、帰ってバタバタするより明日、朝から帰るほうがいいだろうとトダカは命じた。ロックオンの部屋のベッドは、それも考えてダブルを入れてあるから、刹那が一緒でも寝られるからだ。
「そうですね。腹は減ってないのか? 」
「減った。」
「うん、じゃあ、とりあえず、なんか作る。」
 店を開けて、掃除しつつ、おやつの準備をするのは、このところの日課になっている。とりあえず、パンがあるから、あれで腹の虫を抑えて、ごはんを炊けば、刹那の好物は、すぐにできると算段して、トダカと共に店に入る。



 黒子猫お気に入りのホワイトクリームのオムライスが完成する頃に、シンたちバイト組が顔を出す。はごはごと事務室で、それを頬張っている刹那を発見して、シンたちもニパッと笑った。ようやく、本命の黒子猫が戻ってきたから、これでロックオンも落ち着くだろう。
「シン、レイ、腹が減ってるなら、先に食うか? 」
 その横で書類の整理をしているロックオンの表情も柔らかい。やはり、本物の子猫がいると、表情も全然違う。
「ううん、先に掃除する。おかえり、刹那。」
「・・・・」
 刹那が、視線だけで挨拶すると、親猫に書類の束で叩かれて、「ただいま。」 と、返事した。
「どうして、おまえさんは言葉で喋らないんだ? ちゃんと挨拶は、はっきりとって、いつも言ってるだろうが。」
 ごはんは逃げない、と、叱っているロックオンに、シンとレイも笑ってしまう。絶好調だ。絶好調で、おかんモードだ。それだけで、ほっとする。
「シン、早く掃除して、おやつにありつこう。」
「おう、そうだな。」
 刹那の食べている湯気のあがっているオムライスは、見るからにおいしそうだ。これは味合わねばっっ、と、シンとレイも掃除に走る。すぐに、悟空がやってきて、特大のオムライスにありついた。それから、続々とホストが出勤してきて、みな、刹那の姿にほっとした顔をして、一言、二言、声をかけていく。



 アスランとキラが最後に出勤してきて、全員揃うと、ミーティングが開始される。まずは、黒子猫のご帰還の報告で、拍手が起こる。
「ロックオンは、バックヤードを手伝ってもらってるから、刹那にも頼めるかな? 」
 アスランとしては、何か目玉があるほうがいいから、そう頼む。イザークとディアッカが歌姫のほうへ出向しているから、いつもより人数が少ないのだ。
「問題ない。こいつの分も俺が働くから、こいつは休ませてくれ。」
「・・・おまえさんには俺の仕事は無理。アスラン、今日明日ぐらいは休ませてやってくれよ。戻ったばかりなんだからさ。」
「ええ、もちろんです。ただ、イヴイヴとイヴは連荘でお願いします。」
 クリスマス前夜祭辺りから、客はピークになるから、その時だけはフルタイム出勤してもらいたい。たぶん、ロックオンもウエイターをしてもらうことになるだろう。
「紅も出勤頼めるか? 」