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こらぼでほすと アッシー10

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 背後から、こそっとハイネに耳打ちされて、はっとして気持ちを切り替えた。
「刹那、借りるぜ? 」
 それを見ていたシンが、刹那のほうに声をかける。刹那がいなくなって気落ちする前に、自分たちが借りて、世話を焼かせてしまうよ、と、いう意味だ。
「シン、僕、ママと同居してみたいな。」
「ダメっすよ、キラさん。アスランが怒りますよ。」
「でしたら、キラ、しばらく本宅へいらっしゃいませんか? ロックオンを借りようと思っておりますの。」
「うん、そうしようかな。」
「おまえら、俺の都合は考慮しないのかよ?」
「都合? そんなのあるの? 」
「そりゃあるだろう。出かける前に、いろいろとやっとくことがあんだよ。」

 お寺の女房が、そんなにすんなりと出かけられる訳がない。坊主とサルの食事の段取りをしないと、侘しい食事になってしまう。それに、刹那が出かけたら、寺に置いている刹那の服を洗濯してマンションに戻すなんていう用事もある。
「悟空、少しお借りしてもよろしいですか? 」
 だが、歌姫様はスルーだ。
「二、三日ぐらいならいいよ。弁当食いたいんだよな、俺。」
「ほらな? だから・・・」
 本宅に出向くのは無理と言おうとしたら、「では、私くしたちが、そちらにお邪魔いたします。」 と、言い出した。それをカウンターで聞いていた坊主が、ぐふっと酒に噎せた。
「うん、それならいいぜ。歌姫さんは脇部屋でいいよな? 」
「ええ、それで結構です。ロックオンと一緒でも、まったく問題ありません。」
 さらに、ぐふっと虎が噎せる。どんだけ安全パイなんだよ? と、鷹が遠くからツッコミはしてきた。
「ラクスッッ、おまえっっ。」
「だって、ママは娘なんか襲わないっておっしゃいましたよ? 」
 娘? 三蔵が、ものすごい顔で振り向く。確かに、娘が増えたと女房は言っていたが、まさか、暗黒妖怪だとは思わなかったのだ。
「僕も一緒がいいな。ごくー、客間で、みんなで寝ない? そのほうが楽しそう。」
「それでもいいぜ。アスランも来るだろ?」
「そうなるだろうね。」
 刹那が居ないことを寂しがらせないというなら、騒いだほうがいい。それに、合宿チックなのは、キラが大好きなイベントだ。
「ということですので、刹那。安心して出かけてください。」
 心配しなくても、親猫のほうは面倒を見ておくから、と、言外に歌姫がおっしゃると、刹那もこくんと頷いた。
「お客様が到着されました。」
 ダコスタがエントランスから声を張り上げる。さっと、ホストたちが、顔を向けると、真っ白な軍服姿の凛々しいカガリが、どかどかとホールへ入ってきた。
「おめでとう、みんな。今年もよろしくなっっ。」
 大声で、そう叫びつつ、ラクスの席にやってくる。共同経営者のカガリが、この日に来るのも、例年通りだが、軍服は珍しい。
「仕事帰りか? カガリ姫。」
「ああ、ぎりぎりまで軍の行事に出席していたんだ。キラ、ラクス、一緒に写真を撮らないか? わあっっ、刹那。可愛いなあ、おまえ。」
 どっちが男なんだかわからないが、カガリは、こんなだ。そして、ロックオンを見て、手を差し出す。
「お持ち帰りしてもいいか? ロックオン。色っぽい。」
「はあ? おまえ、目が腐ったのか? カガリ。」
「失敬な。いたって正常だ。ものすごく艶があって、私でもドキドキするぞ。三蔵に、そんなに可愛がられてるとは思わなかったな。」
 さすがに、この言葉に、三蔵は椅子から転がりそうになった。天然電波の大明神様の姉の言動というのも、破壊力抜群だ。
「仲良くやってるけど、そういう意味じゃねぇーよ。おまえ、そんな知識、どこで仕入れてんだ? カガリ。」
「キラからに決まってるだろ? 三蔵、女房を一晩借り受けてもいいか? 」
 そう、この姉には、同性同士で新婚さんな弟がいて、そこから知識は得られるわけで、すっかりそうだと思い込んでいるという恐ろしさだ。ダメだと言おうと、三蔵が立ち上がったら、先に、黒子猫がおかんに抱きついた。
「これは、おれのだからダメだ。誰にも貸さないっっ。」
 きっしゃあーとカガリを威嚇して睨み、おかんにしがみつく刹那は、完全に忘れているが、着物の重量ももれなくおかんに降りかかっている。
「おい、刹那。ママが潰れるぞっっ。離せっっ。」
 慌てて、シンが引き離しにかかるが、刹那は離れない。しょうがないな、と、鷹がソファの後ろから刹那の脇に手を入れて持ち上げた。
「せつニャン、ママが重いだろ? おまえさんの衣装、かなりの重量なんだぞ。」
 どっこいせ、と、腕に座らせるようにして鷹が、その耳に囁く。もちろん、いい声だ。だが、刹那には通用しない。ドタバタと暴れて飛び降りて、親猫にソファの背後からしがみつく。
「カガリ、刹那を怒らせちゃダメだよ? 刹那、誰も盗らないから手を緩めて。」
 ぽんぽんとキラが、刹那の腕を叩くと、それは緩んだ。それから、親猫の顔を覗きこむ。えふえふと咳をしている親猫は、ぽんぽんと黒子猫の頭を軽く二度ほど叩いた。
「・・・ロックオン・・・」
「ありがとよ、おまえのお陰で、カガリに拉致られなくてすんだ。カガリ、俺のお持ち帰りは無理だ。」
「そのようだな。相変わらず、マザコンだな? 刹那は。・・・まあ、いい。ラクス、写真だ。」
 せっかくの晴れ着なんだから、みんなで写ろうと、カガリが、自分の親衛隊の何人かを呼び寄せる。常時、カガリには、親衛隊の撮影隊が従っているので、声をかければ、すぐに撮影ができる。とりあえず、三人で、と、ホールの真ん中でポーズする。それから、順々に、全員を撮影して、最後に集合写真なんてことになる。
「ついでだから、夫夫ごとの写真も撮るか? 」
「そうだね。アスラン、ここに来て。」
 さらに、夫夫ごとの写真も撮影する。キラたちが終われば、沙・猪家、その次に、寺の夫夫だが、ここでひと悶着だ。
「カガリ嬢ちゃん、ママの恋人と間男とのツーショットも撮ってくれよ? 」
「フラガ、おまえ、いつか刺されるぞ? 」
「まあまあ、カガリ姫。うちは、四人セットだから、フォーショットで頼むよ。ほら、三蔵さん、入って。」
「おまえらが来い。」
 動くつもりのない坊主は、そこから動かないので、鷹たちが移動する。スツールに三蔵とロックオン、その背後に、鷹とハイネなんていう並びになる。はい、チーズと言う瞬間に、ロックオンの両頬に、ハイネと鷹がキスをするというサービスっぷりだ。
「愛してるよ、ママ。」
「おまえが一番さ、ママニャン。」
「・・・・おまえら、いい加減にしろっっ。」
「なんで、あんたらは、そうノリノリなんだよっっ。俺は、ノンケだって言ってるだろーがっっ。」
「ママ、僕が消毒したげるね? 」
 さらに、怒鳴っていたら、大明神様に両頬にうちゅーとキスされる。消毒になってねぇーよっっ、と、叫んだら、歌姫様が、「では、私くしが。」なんておっしゃって、今度も、両頬に、うちゅーとキスしてくれる。もう、なんていうか、フリーダムすぎて、開いた口が塞がらない。いきなり、お化けをさせられると、対応できなくて、ロックオンも固まった。
「いい加減にしとけ。うちの女房が悪夢で魘されるだろ。」