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こらぼでほすと アッシー13

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「ハイネ、マンションに寄ってくれるか? こいつの着替えが、あっちなんだ。」
「マンションに帰ればいいだろ? ちょっと黒子猫を甘やかしてやれよ? ママニャン。」
「じゃあ、三蔵さんに声をかけてくる。」
 寺へ戻るつもりだったから、いきなり不在なんてことになると、坊主の機嫌が悪くなる。
「というか、あいつ、自分はメシ食ったのか? 」
 人の世話をしているが、当人が軽食を口にしているとは、到底、思えない。そうだったなあーとアスランも苦笑して、厨房の爾燕に、何か用意してもらおうと出て行く。
「刹那、ママに、ごはん食べさせてね? 」
「了解した。」
「それから、あいつのはぴばはシークレットだから、まだ言うなよ? せつニャン。」
「ああ。」
 自分の誕生日なんてものは、忘却のかなたにあるはずだ。当日まで伏せておいて、いっきに祝うのが、『吉祥富貴』らしいやり方だ。そこへ、悟空が慌てて戻って来た。
「刹那、ママ、今日は昼寝してないから、早めに横にしてくれ。おまえが帰ってくるっていうんで、落ち着かなくてさ。」
「・・・あいつは・・・わかった、悟空。」
 手間をかけさせているんだな? と、じろっと事務室の扉を睨んで刹那は、悟空にぺこんと頭を下げる。
「いや、別に手間はかかってない。てか、俺が目一杯、世話してもらってるって。」
「僕も、我侭一杯してるよ? 刹那。」
 刹那の声にならない言葉を理解している悟空とキラは、そう言って、親猫が説教されないようにフォローはする。
「すまない、悟空、キラ。」
「いいんだ、刹那。」
「うん、刹那がいない時は、僕らのママだからね。」
 年少組にとって、ロックオンは、とっても頼りになるおかんだ。刹那がいないと、十分過ぎるほどの世話をしてもらっている。刹那の代わりとはいえ、そこまでしてくれなくても、と、思うほどだから、本当に感謝はしている。



 ハイネはマンションの入り口まで送り届けると、とんぼ返りした。こちらには、何もないから、近くのコンビニまでちょっと行こうと、ロックオンは誘ったのだが、刹那は強引にエントランスへ、その腕を引っ張る。
「明日、朝から買いにいけばいい。」
「それでいいなら、そうするか。」
 そして、刹那の抱えている紙袋には、爾燕が詰めてくれた簡単な料理が入っている。お客様に出す中華オードブルから、ピンはねしたものだが、いろいろなものが詰め込まれているらしい。刹那のお土産は、別荘に置いてある。渡すなら当日ということにしたからだ。
「風呂の用意するから、エアコンつけてくれ。・・・あれ? 」
 居間に入ったら、そこにはこたつが鎮座していた。ソファセットは取り払われている。どうやら、こちらに帰ることは決まっていたらしい。誰かが、こちらの暖房設備を補充してくれていた。
「ということは・・・」
 もしかして、食材も放り込んでくれたかな、と、冷蔵庫を開けたら、電気も入っていなかった。男ばかりの集団だから、そこまでは気が廻らなかったらしい。
保存できるものは、そのまま置いてあるから、紅茶やコーヒーの豆なんかは、そのままだ。とりあえず、温かいものでも用意して、飲ませて風呂に叩き込もうと思っていたら、刹那がこたつの上に紙袋から取り出したタッパーを並べている。
「それ、どうしたんだ? 」
「あんたが食べてないから、爾燕が用意してくれた。風呂は俺がやるから、あんたは座ってろ。」
「あーそういや、俺、おやつも食ってないな。」
 ふと思い出して苦笑した。いつもは、悟空のおやつや三蔵の酒の肴を摘んでいるが、それも忘れていたのだ。
「ちゃんとした生活をしてないのは、どういうことだ? 」
「いや、刹那さん? たまたまだ、たまたま。・・・じゃあ、手分けして準備しよう。おまえさん、風呂やってくれ。ちょっと掃除してから湯を張るんだぞ。」
 俺は、寝室のほうを温めて、食事できるようにしておくからさ、と、さっさと親猫は動く。食事は、おまえがするんだ、と、叫びつつ、刹那も風呂場へ行く。一月前より元気そうな姿だから、風呂場についてから、刹那はくふっと笑っていた。やつれている具合も、随分とマシになっている。よかった、と、内心で安堵しつつ、シャワーで風呂場を流すことにした。


 寝室のエアコンを入れて、ヤカンを火にかける。タッパーの中身は、オードブルだった。焼き豚や蒸し鶏、蒸し海老、クラゲの酢の物、きゅうりの甘酢炒めなんてものが、少しずつ用意されている。沸いたお湯で、お茶を入れて用意完了だと、こたつに座った。
「トダカさんから預かった。お湯割りにするといいそうだ。」
 残っていたヤカンのお湯で、蕎麦焼酎を割ったものを刹那が用意する。これを飲んだら、確実に寝るから、そのつもりで飲ませなさい、と、説明された。
「刹那も飲んでみるか? 」
「ああ、少しだけ。」 
 先に話しておくことがあるから、刹那が、そのコップを手元に引き寄せた。親猫は、用意してもらったものを少しずつ食べている。こくっと一口飲んだら、かあーっと腹まで温まった。
「どうだった? 」
 それを微笑みつつ眺めている親猫は話を切り出す。このために、スタッフは、この時間を用意してくれたのだから、そこから始める。
「あんたとは違う。」
「そっか、違うのか。それで? 」
「三週間、尾行してみたが、これといった動きはなかった。カタロンとしての仕事より、商社のほうの仕事がメインらしい。まだ、あちらには捜査の手も入っていないようだから、危険は無い。」
「うん。」
「保留にしようと思う。あんたの身内を巻き込むのは気が進まない。これから、俺が行く場所で、候補は見つけられるかもしれない。・・・あんたには、唯一の肉親だ。何かあってからでは遅すぎる。ある程度、キラたちに監視してもらえれば、危険からも保護できるはずだ。それから、ちゃんとした時期を教えてくれないか? ロックオン。一応、報告はしてきたが、時期ではないんだろ?」
 淡々と刹那は、現状報告をする。そういうだろう、とは思っていた。誤解されがちだが、刹那は優しい気性だ。できるだけ、周囲に影響の無いように考えるから、そういう結論に達してしまうのだろう。
「じゃあ、ひとつ、付け足す。・・・・カタロンは、最近、台頭してきている組織だが、所有するMSは旧式のものだ。情報戦略も仕掛けているが、情報管制によって、あまり実を結んでいない。遅かれ早かれ、あの組織は、独立治安維持部隊に追われるはずだ。そうなると、そちらのほうが危険だと思わないか? 」
 ずずっと、湯飲みのお湯割りを飲んでいる刹那が、びくっと震える。その可能性は知っていたのだろう。
「それなら、いっそのこと、こちらに引き摺り込んだほうが安全だと俺は思っている。ただな、おまえさんが信頼できる相手だと思えないなら、話は別だ。自分が背中を預けられる相手を探したほうがいい。」
「・・・まだ、直接接触していないから、判断できない。」
「時期は、まだ少し先だ。でも、もういいよ。報告してくれたんなら、それでいいんだ。」
「あんたは、それでいいのか? 組織に加入させても、同じことなんだぞ? 撃墜されたら、それで終わりだ。」