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国城 龍耶
国城 龍耶
novelistID. 24182
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東方無風伝 2

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「そうだ。何でも良いと言うのなら良いもの有るけど、どうだい、見てみないか?」

「見る」

 そう短い返答をすれば、森近は部屋の奥の方へと姿を消した。
 少し待てば、「お待たせ」と森近が再び姿を現す。

「それが?」

「ああ。素人目でも解る良いものだよ」

 森近が持っているのは一本の刀。
 漆塗りの黒い鞘(さや)に納められ、その鍔はシンプルな円形、柄(つか)には滑りにくいように革が巻かれている。
 一見すると良くある普通の刀のようだが。
「どうぞ」と森近が差し出すその刀を受け取る。
 手に持って見ても、特に異常は感じられない。

「抜いてごらん」

「失礼する」

 すっと静かに抜けば、隠れていた刀身が姿を現す。

「成る程、確かにこれは良い刀だな」

 均等に揃った美しい乱刃の刃文は仄かに赤色を帯び、銀より白に近い地肌は鏡が如く俺の顔を映し出す。
 刀身の長さは大凡(おおよそ)六十センチメートル。太刀よりも脇差に分類される刀だった。

「良い刀だ……」

 その美しさに圧倒され、口からはそんな褒め言葉しか出なかった。

「森近、本当にこの刀を貰い受けても良いのか」

「良いよ」

 あっさりと言う森近。

「僕が求めるのは『未知』だ。それは刀。もう名前も用途も使い方も解りきっている。それがどんなに素晴らしい刀だろうと、未知では無い物には興味なんて無いからね」

 ああそうか。これはもう森近の研究対象外なのか。

「では遠慮なく」

 そう言って刀を鞘に戻す。
 さて、この刀をどうしようか。常に手に持つと言うのは非常に手間。
 少し悩んだ後、刀を腰帯びに差す。
 うん、これで大丈夫だろう。

「ところで」

「なんだ森近」

「その刀に名前が無いようでね。もし君がこれからもその刀を使い続けると言うのなら、その刀に名前を付けてみたらどうだい?」

「名前、か」

 刀に名前を付ける、か。

「それはそれで面白そうだな」

 元々名無しの俺が今は『風間』と言う名前を持っている。
 それならば、『こいつ』にも同じように名前を付けてみるのも面白そうだ。
作品名:東方無風伝 2 作家名:国城 龍耶