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国城 龍耶
国城 龍耶
novelistID. 24182
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東方無風伝 2

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「いま」

 魔理沙が口を開く前に、遮るように言った。

「今こうして鰻を食っている間でも、見ず知らずの誰かが死んでいる。一方では妖怪に食われ、一方では何も食べれず。さて魔理沙。そんな人間を、気にかけることは出来るか? 哀れむことは出来るか? 助けてやれるか? 答えは、『否』だ。違うか」

「……」

「外の世界の連中を見ているとよく解る。ニュースでは何処其処で誰が死んだと報道されても、無関心だ。祈ろうとすらしない。人身事故で列車が遅れる。そうしたら、人間は何を思う。『ああ、電車が遅れてしまった』。死んだ人間ではなく、電車の方を心配する。ははっ、人間は、人間の命よりも電車のほうがよっぽど重要なんだな」

「風間、あんた酔ってるね」

「酔ってなんか無いさ。だが、魔理沙。これで解ったか? 人間の命なんて、どうでもいいんだよ。ははっ、矛盾した人間共め! 人の命は尊重すべきだ? 他人の命なんてどうでも良いくせに、よく言えたもんだ! 狂った人間様万々歳だ糞ったれ!」

「風間! いい加減にしな!」

 小町に一喝され、ふと我に帰る。ああ、どうやら興奮してしまっていたようで、何時の間にか席を立っていた。

「……すまないな、口が過ぎたようだ」

「ほれ、これでも飲んで頭を冷やしな」

「ああ、有難う小町」

 小町の差し出す湯呑みに口をつける。
 その中身は透明で、水かと思ったら先程小町が呑んでいた熱燗を注いだものだった。
 小町め、俺は酔っぱらっていたことにするつもりだな。
 そうと解っていながらでも、俺は煽るように飲み込んだ。

「風間……」

 魔理沙が、静かにぽつりと呟いた。

「なんだ」

「私は、風間の言うことを否定するつもりは無いぜ」

「そうか」

「でも私は、目の前で困ってる人間がいたら助けるぜ。自己満足でも、エゴでもいい。だって私も」

 人間が好きだから。
 魔理沙のその言葉が、頭に響いたどうかすら曖昧で。
 一気に飲み込んだアルコールが体内を巡り廻り、毒となって身体を蝕む。
 額をテーブルにぶつけ、意識は奥底へと返り落ちる。
作品名:東方無風伝 2 作家名:国城 龍耶