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国城 龍耶
国城 龍耶
novelistID. 24182
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東方無風伝 2

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「あくまでもこのお金は『貸す』のよ。何時か、あんたがお金に余裕が出来たら返しに来なさい。絶対よ」

「ああ、この恩は忘れない。絶対にこの借りうけた金は耳を揃えて返すよ」

 霊夢はがめついと聞いている。その証拠に彼女は絶対にお金を返すように言ってきた。
 そこまで念を押さなくとも、俺はしっかりと恩は返すつもりだ。

「準備は出来たな。よし、行くとするぜ」

「飛んで?」

「他に何かあるか?」

「歩いて行くという選択肢が有るじゃないか」

「おいおい、そんなことじゃ日が暮れちまうぜ」

「そんなに遠いところなのか」

「遠いぜ。まぁ、足が棒になるくらいだな」

「どちらも選び難いな」

 と言ってから考えてみたが、精神的にも肉体的にも疲れる上に、下手すれば落ちて死ぬ可能性のある空と、肉体的には疲れるが命の保証は出来る地上。
 どちらを選べと言われたら、答えは地上しかない。

「地上だと妖怪に襲われやすいけどな」

「……空は」

「安全だぜ、地上よりも、ずっと」

「妖怪に襲われた時の、対処法は」

「基本は弾幕ごっこに持ちこむな。でも、風間は弾幕が使えないだろ?妖怪に出くわしたら、死んだと同じだな」

 それならば、空を飛んだ方が安全か?
 だが、魔理沙は人をからかうのが好きなようで、必死に箒を掴む俺を振り下ろそうと言わんばかりの曲芸飛行をする。
 さて、どうしたものか。

「言っとくけど、風間に選択権は無いぜ」

「何故」

「貸しは少ない方が良いだろ?」

 清々しい程の笑顔で言う魔理沙。
 しかし、その笑顔の裏には強烈な悪戯心が込められており、まるで悪魔のような笑顔に見える。

「魔理沙は俺に死ねと?」

「まさか。死んでほしいなら助けたりなんてしないぜ。肝心なのは、私が楽しめるかどうかだぜ」

「自己中心的な楽しみのために、他人はどうなろうとも良いと」

「おいおい、そこまでは言ってないぜ。安心しろって。落ちたら落ちたで、見て見ぬフリをするだけだぜ」

「おい」

「おっと、間違えた。落ちたら助けるぜ」

 とも言う魔理沙だが、無視すると言ったばかり故に、その言葉はどうにも信用し難い。

「さ、冗談は終りだぜ。何時までも喋ってないで、そろそろ行くぜ」

 そう言っては箒に跨る魔理沙。
「はぁ」と溜め息を一つ。
 結局は、これしか道は無いのだな。
 諦めるしかないのだ。
作品名:東方無風伝 2 作家名:国城 龍耶