植物系男子
ただ俺の中にあるシズちゃんへの想いがこいつを増長させていたことは間違いないようだ。は、と自分で自分に呆れ果てる。
最後まで厄介な感情だ。出来れば気付かずに一生を終えたかった。告白も、キスも、全部裏目に出ていたなんて。
「…なぁ」
それまで黙ったままだった静雄が口を開く。三人の視線が一気に静雄に集まった。
「そいつ、どうするんだ?」
彼が指差したのは、テーブルの上のサボテン。
セルティと新羅は顔を見合わせ、どうしようかと困ったように笑顔をつくった。
「いらねぇなら、持って帰る」
「ちょっとシズちゃん」
そんな得体の知れないものを、と思うも、静雄は聞かなかった。自分で買ってきたものだから引き取りたいらしい。彼は変なところで律儀だった。
鉢を手にするシズちゃんを見て、俺はもう何も言わなかった。