みんなといっしょ!
そこにいたのは保健委員副委員長の伏木蔵がいた。
「はーい…」
「まあ、でも今日は見逃してあげるよ。これから、しんべヱも皆も大変になるんだからね」
「さあ、後少しだから頑張っていこうか」
虎若の言葉に皆頷き、村に向かうのだった。
「乱太郎〜」
神殿に来たのは、衣装を手伝わないメンバー。庄左エ門、金吾、虎若、団蔵だ。
「あ、来たね」
「うん。来たね」
「これで皆揃ったね」
「あー、長かった」
「兵太夫は自業自得でしょ?」
「三ちゃん、それをいうなー」
「あはは、兵ちゃん今回は弱いねー」
「喜三太!」
「わー、乱太郎助けて!」
「はいはい、遊ばないの!」
「乱太郎、僕らにいうことはないの?」
「庄ちゃん、来てくれてありがとう」
いつもの笑顔に庄左エ門は苦笑だ。そして、ポンっと肩を叩く。
「まったく、巻き込むのは乱太郎の十八番だけど。今回のはまた大規模に全員巻き込んでくれちゃって」
「だってねぇ」
乱太郎は先にきていた三人と笑い合う。そして声が重なった。
「「「「は組は全員揃わなかったら、は組じゃないでしょ?」」」」
「そりゃ、そうだ」
団蔵も虎若も金吾もその言葉に笑う。
「さてとオレ達は何をすればいいんだ?」
「えっとね、兵太夫と三ちゃんのお手伝いお願い。仕掛けを作ってるんだよね」
「力仕事なら任せろ」
「なんでもやるぞー」
「任せろ」
「じゃあ、三人はこっちに来て手伝ってな」
「いくよー」
そして、五人は神殿の中に消えていった。
「乱太郎」
振り向けばそこには伏木蔵がいた。
「伏ちゃん、皆と連れてきてくれてありがとうね」
「いえいえ。面白かったし」
「あ、そうだ。伏ちゃん」
「なあに?」
「伏ちゃんも一緒に踊ろうねー」
「はい?」
「だから。今回は伏ちゃんも一緒に踊るからね!」
「…また唐突に」
伏木蔵は苦笑い。庄左エ門はそれを見てああまたと思う。
「乱太郎、お前それ最初から決めてただろ?」
「うん。勿論。左近先輩にも伏ちゃんのも頼んどいたしね!」
「…あーもう」
「伏木蔵の負け〜」
喜三太の言葉に伏木蔵は手を挙げた。
「降参です」
「よし、勝った!」
「乱太郎の勝利〜」
「…あのね。ここで勝ち負けじゃないでしょうが」
「だって、いつもいつも伏木蔵に負けてたんだもん」
「だから、伏木蔵に勝ちたかったんだって」
喜三太は乱太郎におぶさって言った。
「伏ちゃん、庄ちゃんこっちきて。舞の設定とか色々話とくから」
「わかった」
「わかりました」
四人もそこから消えた。
「左近先輩、これが四人いや五人に衣装ですか?」
「そうだ。明日までにあげたいんだ」
「で、僕らの出番ということですね」
「そうだ」
「でも、なんで僕まで?」
しんべヱは不思議がる。
「しんべヱはオレの手伝いだ。小物を作るからそれを手伝ってほしいんだよ。お前、結構かんざしとか細かいもの作るの好きだろう?」
「…なんで知ってるんですか?」
「昔にくのいち教室で聞いたんだよ」
「あー、そういうことですか」
「だから、お前はこっちを手伝って欲しいんだ」
「わかりました」
「伊助ときり丸は指示は出す。それの仕上げ頼む」
「了解しました! で? そのお駄賃は?」
「もう、きり丸!」
「だってさぁ…」
そんなきり丸に左近は乱太郎からの言葉を伝える。
「乱太郎がな。これを手伝ってくれたら、一個だけ何かやってくれるとさ」
「はい、がんばります!」
「…さすが、乱太郎。きり丸のことよくわかってるわ」
「だって、乱太郎だもん」
にこにこ笑っていうしんべヱはさすがということだろうか。
「じゃ、僕等も頑張ろうか」
「うん!」
準備はちゃくちゃくと進んでいった。
そして、祭りの当日を迎えた。
能勢久作も加わり、歌と舞の準備が整った。
「左近」
「久作か。今回はすまなかったな」
「いや。楽しそうだったからチャラだな。乱太郎やきり丸達にも会えたし」
「発端はオレだからなあ。できることはやってやりたかったんだよ」
「先輩だしな」
「少しくらいはかっこつけもしたいしな」
お互いの手を握りしめ、コツンと合わせる。
「そういえば、衣装みたぜ」
「あれは自信作だな」
「まあ、伊助ときり丸の手際がいいってこともあるか」
「ああ」
伏木蔵を入れた五人の衣装。左近にとって本当に力作となった。
「お前、医者じゃなくてそっち系に転換すりゃいいのに」
「あれは、趣味。本業は医者だっての」
「勿体ない」
そこにきり丸が来る。
「先輩達、そろそろ準備するそうですよ」
「おう」
「あいつらは?」
「舞姫達は準備万端ですね。後はやるだけ」
「じゃ、行きますか」
三人も舞台に向かった。全てがそろった。そこに舞姫姿の乱太郎が声をかけた。
「皆、巻き込んでごめんね。でも、多分皆も楽しんでやったとは思うんだ。だから、最後まで楽しもうね!いくよ!」
「おう!」
乱太郎以外の声が響いた。
そして、舞台は始まった。
物語は一人の巫がそれぞれの四季の精霊達と心を通い合わせ、舞を踊っていくというものだ。
「最初は僕と乱太郎だね」
「そう言えば、伏木蔵と踊るのも久しぶりだね」
「まあね」
遊びで何時合わせた事があるのだ。
「じゃ、春の導きよろしく」
「うん」
久作の声が舞台に響く。そして、真っ暗な中から乱太郎と伏木蔵が現れる。鏡のように左右対称に踊る。伏木蔵は白を基調とし、桃色を所々にあしらえてある。そして、長い髪は結わえてあり桜のかんざしを着けていた。そのかんざしは動く度にシャランと音がなる。手には桜の枝を持っていた。乱太郎の衣装は基本的には伏木蔵と同じ。だが、使っている色は蒲公英。そして、腰には大きなリボンがあしらえてある。そして、七色に光る羽衣を持っていた。髪型は2つに分けた髪をお団子にして少しだけ髪を垂らしていた。お団子にした髪には蒲公英の髪飾りを差している。二人とも、何処から見ても女の子だ。
「乱太郎も伏木蔵も可愛いよね」
「学園内の可愛さNo.1と2だしな」
袖にいるしんべヱと団蔵がいう。
「そこー、喋ってないで仕事しろよ!」
きり丸の叱咤に二人ははーいと返事をして自分の仕事に戻る。
舞台は続く。春の導きをる伏木蔵に乱太郎は楽しそうに笑う。ふわふわと動く乱太郎は飛んでいるように見えた。
「三ちゃん、あれはいいね」
「頑張った甲斐があるよね」
袖に控えている兵太夫と三治郎はにやりと笑う。しかけをつくったのはこの二人。
「あれは、帰ったら学園の罠に使えそうだね」
「そうだね!楽しみ〜」
「悪巧みしてるね」
「してるな」
金吾と虎若はため息だ。物語は春から夏へと移る。 夏は喜三太。伏木蔵から喜三太は乱太郎の手をとる。お互いににこりと笑いあい、踊りだす。喜三太の衣装は白の基調にしているのは一緒。そこに喜三太は群青を使っていた。夏の夜の色。それを現した色。夏の夜の精霊と巫との出会いから始まる。そして、一緒に夏を彩っていく。
「喜三太はと乱太郎の組み合わせは何かほんわかするな」
左近の言葉に答えるのは、伊助。
「学園で癒し系の?1.2でーす」
「伊助。ま、あの二人は癒し系ではあるな」