みんなといっしょ!
3:ぼくらの忘れもの
「んー」
朝、乱太郎は朝日で目を覚ました。今日は久しぶりに忍務もなく皆学園にいる。今、隣にもきり丸としんべヱがいる。
「久しぶり…だなぁ」
誰か欠けているここが常だったこの頃。六年となれば一層それに拍車がかかっていた。
そして、思いつく。いつもの騒動の元はこの乱太郎。巻き込むのだってお手の物。
「とりあえず…おばちゃん巻き込も」
そういって、乱太郎は部屋から消えた。
そして残った級友は眼をあける。
「きり丸、起きてる?」
「起きてるよ」
「乱太郎、何すると思う?」
「ありゃ、は組全員巻き込むな」
「相変わらずだねぇ」
「相変わらずだな」
そういって、二人も身を起こす。
「おばちゃん、巻き込むって言ってたよね」
「ということは…」
「「外に遊びにいくね(な)」
苦笑しながら、二人は笑った。
「おばちゃーん」
「おや、乱太郎。どうしたんだい?」
「今から、13人分のお弁当って頼んでも問題ない?」
「おや、出かけるのかい」
「はい、思いつきですけどねー。でも、やっぱりお昼はおばちゃんのお弁当がないとなと思って頼みに来ました」
「それは、うれしいね。でも、簡単なものになるよ?」
「はい、急に頼んだんですから。後、私も手伝いますよ」
「助けかるね」
おばちゃんが笑いながら答えると後ろからまた違う声が届く。
「おばちゃーん。僕も手伝うよ」
「オレもね!」
「きりちゃん、しんべヱ?」
「お前がいなくなってからしんべヱと予測つけてな。どうせ、は組全員で出かけるつもりなんだろ?」
きり丸が後ろから抱きつく。しんべヱは乱太郎の隣に来て手をつなぐ。
「乱太郎の考えてることはわかってるつもりだよ?」
「二人には敵わないなぁ」
いつもの三人におばちゃんは相変わらず仲がいいわねぇと思う。昔から変わらない。
「後ね、庄左エ門に行ってきたから、先生も一緒に遠出ってことで!」
「手回しありがとう」
乱太郎の言葉にしんべヱときり丸は笑い会う。
「さて、作ろうか」
そして始まったお弁当作り。
「「「「「「「「「乱太郎・きり丸。しんべヱ」」」」」」」」」
「皆。おはよう」
「「「「「「「「「「「おはよう!」」」」」」」」」」」」
は組勢ぞろいで、朝の挨拶。これも変わらない。そのあとに担任が続けて入ってきた。
「…乱太郎、今度は何を思いついたんだ」
「え? えへへ」
「可愛く笑っても何にもならんぞ」
「ちぇ。あー、今日誰も忍務がで出る人がいないじゃないですか。だから、おばちゃんのお弁当待って遠出しませんか? いいとこあるんですけど」
「お前…、授業は?」
「ほとんどあってないようなもんでしょ? それに」
「「それに?」」
「学園長先生には許可もらいましたv」
「「…まったく」」
両先生の言葉に乱太郎はいう。
「先生たちもたまには休みましょうよ。皆もです。だから、今日はは組はみんなお休みです!!」
その一言には組メンバーは「賛成〜」と同意する。
「お前らは…」
「土井先生、今日はこいつらと付き合いましょう」
「はい…。本当に負けてしまいますね。こいつらには」
「今更ですかね」
「そうですね、今更です」
苦笑して、お弁当を作っている子供達を見つめた。
そうして、乱太郎が全員を連れてきたのは風が通る草原。
「…きもちいいねぇ」
「本当だな」
しんべヱときり丸が草原に寝転ぶ。
「なんか、こんなゆったりとした感じ久しぶりかも〜」
「この頃、忙しかったもんね」
伊助と三治郎もその横に寝転ぶ。
「さっき、起きたばっかりなのに」
「もう眠くなるぞ…」
団蔵と虎若がまたそのよこに寝転ぶ。
「本当いい場所だね」
「見つけたのは乱太郎かい?」
兵太夫と庄左エ門がまたその横に寝転ぶ。
「ふにゃー。眠い」
「でも、気持ちいいもんな」
喜三太と金吾がまたその横に寝転んだ。
「お前ら…」
「敵がきたらどうするんだ…」
先生たちは呆れ顔であり、苦笑する。
「いいんですよ。別に」
先生の言葉に乱太郎が答える。
「今日はみんなで休む日ですよ。先生達もです。それに周りには結界みたいなものも張ってますから誰もきません」
「…結界?」
「はーい。僕と乱太郎ではりました〜」
三治郎が手をあげる。
「それがあるので、誰もここに人がいるってきがつきません」
「あとですね」
三治郎の言葉に続き庄左エ門が先生たちに言葉を返す。
「学園の方も大丈夫です。い組・ろ組もいますけど。何人か先輩たちも呼んでおいたので守りは問題ないですよー」
「…お前らは」
「用意周到というかなんというか」
「なので、先生たちも休んでください」
乱太郎の言葉に半助も伝蔵も子供たちにならって草むらに寝転んだ。
そして風に音を聞く。
「久しぶりですかな…」
「そうですね」
忙しかった日々が毎日続いているのだ。身体もピークに達していたことに乱太郎も気がついていたのだろう。風はいつしか子守唄のように凪いでいた。
乱太郎は周りを見る。既に、眠りの住人の皆を見て口ずさむは優しい子守唄。
それはこの空間を包んだ。
みんなの忘れもの。それはこんな日にある安らぎ。
「今日は…おやすみ」
乱太郎の声が優しく響いた。