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6:到達点
「できたv」
「…あの? 乱太郎さん。何が出来たんですか?」
 部屋でゴリゴリと薬を煎じていたのはわかっている。わかってはいるのだが…。
「え? きりちゃん聞きたい?」
「えーっと、一応は聞きたいです」
「これはねー。今度の実習で使う幻眞弾でーす」
「で、その効果は?」
「1週間悪夢を見続ける」
 きり丸は深くため息をつく。
「今度の実習場所ってどこだ」
「えーっと、知らないところだったかな」
「…知らないって」
 きり丸は横にしていた身体を乱太郎のところまでずりずりと持っていく。そして、膝に顔を乗せた。
「…なぁ、乱太郎」
「なあに?」
「もしかして、ものすごく怒ってたりするのか?」
「どうしてそう思うの?」
「だってなぁ」
 乱太郎はきり丸の髪を撫でる。きり丸としては怒ってるということがしっかりはっきりとわかる訳だ。だが、どうしてここまで怒っているのかを知りたい。乱太郎が今度の忍務の広の情報を知らないというのであれば…ん¥ものすっごく怒っているということ。
「何があった?」
 甘えると同時に乱太郎の言葉を聞くきり丸。
「…今回の忍務のところで伏ちゃんがお世話になったの。怪我までさせてね。それも結構重症」
「伏木蔵が?」
「そう、今はもう大丈夫だけど。一時期は少し危なかったの」
「…伏の忍務は?」
「そこの城主を調べてくること。…というか、他愛もない情報を流してくれたのがむこうでね。それを調べにいった。そこで小さな罠にハマっちゃって。帰ってはこれたけど…重症」
「じゃあ、技と情報を流したってことか?」
「そうだよ。それに乗せられたこっちも悪いけど。でも、報復くらいしてもいいと思わない?」
 いい笑顔に乱太郎にきり丸も笑い返す。
「じゃあ、その忍務にオレも混ぜて?」
「きりちゃん?」
「だって、『仲間』に傷と作ったやつに遠慮なんかないだろ?」
「いいの? 先生に怒られるよ?」
「そんなの関係ない。伏にはいつも乱太郎がお世話になってますし。怪士丸にも世話になりっぱなしだし」
「きりちゃん」
「どうせなら、は組全員巻き込もうぜ〜。ここの奴に手を出したこと後悔させてやろ」
「そうだね。今更伝説の1個や2個増やしても問題ないかな」
「そうそう」
 今回、止める者は誰もいない。ということは、全力全開になることは必至。
「私、庄ちゃんにいってくる」
「じゃ、オレは兵太夫達に伝えてくる」
 二人が消え、部屋には乱太郎の煎じた薬が残る。

 そして…。

「伏木蔵? 大丈夫?」
「怪士丸…。どうしたの。笑ってるみたいだけど」
「ん? まだ聞いてないんだ。は組のこと」
「は組のこと?」
 怪士丸は面白いことを持ってきたというように笑う。
「そう、伏木蔵さ、その怪我したのって城の罠にはまったからだよね」
「そうだよ? 怪士丸だって知ってるでしょ?」
「うん。でね、その後には組の乱太郎がその城の担当になったんだ」
「乱太郎が…?」
「そう、乱太郎が」
 伏木蔵はこの後の言葉がなんとなく予測がつきはじめる。
「あ、やっぱりわかる感じなんだ?」
「そりゃねぇ…。六年間ずっと乱太郎の側にいた訳だし」
「じゃ、言わない方がいい?」
「意地悪だよ。怪士丸」
 伏木蔵が少しだけふくれる。
「ごめんって」
「で? どうなったの?」
「そこの城ごと全部は組で落としちゃった」
「やっぱりね」
 答えはわかっていたけれど、聞くと納得してしまうのがは組だ。
「…やっぱり、僕が理由かな」
「そうだと思うよ。キミが怪我をしてきたとき乱太郎すっごく怒ってたもん」
 意識が朦朧とした中で、乱太郎の泣きそうな声を聞いた気がする。それが気がかりではあったがそのあと2週間は意識がなかった。時折浮上はしたものの、ほとんど覚えていない状態だ。
「でも、なんで壊滅なんてことになったの? 本来なら乱太郎一人だけならそんなことにもならなかったでしょ?」
「なんかね。今回はきり丸も一緒に怒ってたみたいだよ」
「きり丸が?」
「そう。で、その二人から周りにいったらしよ」
 トラブルメーカーとでもいう二人から行ったのであれば周りが止めることはできない。それが、先生であれ元上級生であれ。伏木蔵はクスクスと笑った。
「どうかした?」
「ん? 僕って愛されてるなぁって思ったの」
「伏ちゃんは、乱太郎のパートナーだからね」
 保健委員で培ったものは同じ。同じことを学び、そしてそれを一緒に行った。
「で? は組の皆は?」
「先生のお説教中」
「土井先生も大変だ」
「まぁ、今回はわかって行かせたらしいよ」
「学園も怒ってていた訳ね」
「落とすつもりはなかったと思うけど」
 話している間に足音が部屋に近付いてくる。
「乱太郎ときり丸かな?」
「そうだね」
 そうして、部屋を訪れたのは案の定乱太郎ときり丸。
「…伏ちゃん、大丈夫?」
「怪士丸もいたのか」
「うん」
「乱太郎」
「ん?」
「おかえり」
「ただいま」
「きり丸もおかえり」
「ただいま。怪士丸」
 それだけだ。無事に帰ってきたのならばそれでいい。
 そして、またいつもの時間がそこにあった。乱太郎の背中には伏木蔵がいて、乱太郎の膝にはきり丸が寝ていた。怪士丸も本を読んでいる。多分、もう少しすればここは人で埋め尽くすだろう。乱太郎のいる場所は人が集まるから。ちょっと不思議に思った伏木蔵は質問してみる。
「ねぇ、乱太郎」
「ん?なぁーに」
「キミはいつまでも前を向いているけど…到達点なんて決めてるの?」
「到達点ねぇ…。そうだなぁ、まずは」
「まずは?」
「忍術学園に下手に手出しさせないように、脅威になることかな。今の到達点は」
「その後は?」
「まだ考えてないけど…。殺すよりは生かす方向の何にをしたいね。…人を殺すことにもなれたけど、やっぱり殺すことは嫌いだし」
「そっか…。じゃ、僕もその手伝いがしたいな」
「伏ちゃんが? いいの?」
「僕だって、夢はあるもの。でもその夢は乱太郎が横にいればもっといいなぁって思うの」
「そっかー」
 えへへ、と笑う二人にきり丸が怪士丸に話しかかける。
「…あれは最凶っていうんじゃないか?」
「だねぇ…」 
 これからのこと、これから思うこと。それは今の六年を巻き込んでいくことは本人達さえも知らない。
作品名:みんなといっしょ! 作家名:とーすい