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野沢 菜葉
野沢 菜葉
novelistID. 23587
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きらきら星 【前編】

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「さっかえぐちー!すやまぁーー!お昼の時間だよ!!」
昼休みになるとすぐに水谷が顔を出した。

「お前はやいな。」
巣山が言うと、
 「授業早く終わったから迎えに来ちゃった!!」
と言って、へにゃりと笑った。

いつも思うけど、水谷も笑顔って気抜けるよな。
そう思うと、こっちまで笑顔になってくる。

すると、急に背中にドンっと重みを感じた。
「さかえぐち~。なぁに?なんで笑ってるの??」
重みの原因は水谷だった。
「なんでもないよー。てか重い!!」
「え~ひどい!」
とか言いつつも、水谷が離れる気配はなく、そのまま会話を続けていると、

『ほんと、水谷くんと栄口くんて仲いいよね!』
と、笑いながら前の席に座る坂井さんが話しかけてきた。

「やっぱわかる~?俺ら通じ合ってるからね!」
「水谷きもい」
「ひどっ!そんな照れなくていいのに!」

『ほんと仲良くてうらやましいなぁ。でもお昼行くんじゃないの?』
「そうだよ。早く行かないと時間なくなるし、だからそろそろ離れろ。」
「はーい!じゃぁ坂井さんばいばい!」
『行ってらっしゃい!』
ヒラヒラと手を振って歩きだすと、水谷はオレに近づいてきて、耳元でそっと話しかけてきた。

「あのさ、思ったんだけど、さか――」
「おい、何やってんだ。早く行くぞ!」

巣山の声で、何を言いたかったのか聞けなかったけど、水谷は「はーい」と言って、オレから離れていったので、
大した用事じゃなかったのだろうと思った。






オレと水谷と巣山は部室へと向かっていた。

先ほど、今日の練習のことで軽く連絡事項があると、部員全員に昼休み招集がかかったからだ。
なので、部室に行けば必然的にみんなに会えるのに、水谷はわざわざ1組にやってきた。

水谷のこういう行動は良くある…。
たとえば今日みたいにお昼を一緒に食べるとか、放課後わざわざ迎えに来て、一緒に部活に行くとか…。
阿部とか巣山とかには「ほっといてもいいんだぞ」とか「なつかれてんなぁ」とか言われるけど、
苦になんてこれっぽっちも感じたことなかった。オレって案外世話好きなのかな。


みんな集まって弁当を食べながら軽くミーティングを行うと、
後は食べるのに専念しているやつやふざけるやつなど、様々だった。

オレは副主将でいつの間にか書記係みたいになっていて、
この時もミーティングの内容をメモしていたので、終わってから弁当にありつけた。

ガサガサと袋から弁当をとり出し食べ始めると、隣にいた水谷が声をかけてきた。
「あれ??栄口今日お弁当じゃないの?めずらしいね。」
あまり突っ込まれたくない内容だったので、一瞬ドキッとしてしまったが・・・

「あっ…今日寝坊しちゃってさ、弁当作れなかったんだよね。」

いつも通り笑って言うと、一瞬水谷は眉を下げて悲しい顔をした。
どうしたんだろう…
「そう――」水谷が何か話そうと口を開いたが、別の言葉にかき消された。

「うそ!?栄口って自分で弁当作ってんの!?スゲー!!」
「さっさかえぐちくん。すっすごっすごい!」

さっきまで遊んでいたはずの田島と三橋が話に入ってきた。
その言葉にほかの部員たちも注目する。
口々に「すごいなぁ」やら「俺には出来ない」やら…

「なぁ何で自分で作ってんの??」
田島が質問してくる。
「だって朝早いのに作って貰うの大変だろ。」
いつもの笑顔で返す。ここで、自分の家庭事情なんて話せない。
聞かれれば言うけど、どんな空気になってるかわかってる。

ここではこれ以上検索されたくないな……

「偉いな。俺には絶対できねぇ。」
「うちの親も栄口見習ってほしいよ!」
「その前に自分が栄口見習えよ!!」
みんな楽しそうに笑っているけど、正直そんな言葉要らなかった。

別に偉い訳じゃない…。
やらなきゃいけないからやってるだけだ。
みんなみたいな環境だったらオレだって……。

表面ではいつもの笑顔を保っているが、暗い気持が押し寄せてくる…

みんなとは違うから…羨んだって手に入らないから…

いやだ…


こんな気持ち…


もうやめて………