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こらぼでほすと アッシー16

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「ユニオンが掴んでいる映像を一時的に変えればいいじゃない。たぶん、ペーパーにしてないと思うよ。それほど重要人物じゃないし、シンはユニオンには正式に行ったことが無いからね。」
「だが、シンは先の大戦の時に活躍しているんだから、顔は知られているだろう。」
「じゃあ、違うの用意するけど。シンでも大丈夫だと思うよ? 」
 キラにとって経歴の詐称くらいへっちゃらだ。どのくらい顔が売れているかの問題だから、先の大戦の有名人は避ければいいだろうぐらいの感覚で、シンは有名ではないから指名したに過ぎない。エースではあったが、意外と顔は知られていないのだ。シンは有名人ではないという認識らしい。それはないだろうと刹那は思う。天然電波に常識は無いので、とりあえず、アスランのほうを待つことにした。


 歌姫様と、すぐに連絡が取れて、アスランが同行できるかを尋ねてくれたら、すんなりとオッケーが出た。
「私くしの護衛ということでしたら、問題はないでしょう。最低限のカモフラージュさえしてくだされば、怪しまれることはありません。」
 実際、刹那なら護衛も兼任できる人材だから、こちらでも浮くことはない。コーディネーターの基準でいえば、十八歳は成人して五年というところだから、それなりの経験もあるという判断も下される。
「追悼イベントは、四月に入ってすぐとのことです。私くしも、それまでは、こちらに滞在いたしますので、イベントの二、三日前までに出向いてください。・・・アスラン、ママは大丈夫ですか? 」
 歌姫様も、ママのことは案じていたらしい。なんとか元気にしているよ、と、アスランに言われると、ほっと安堵の息を吐いた。
「ママのほうは、悟空がいるから大丈夫だ。」
「ユニオンから戻りましたら、あちらに出向きますわ。こういう時は娘のほうがよろしいと思いますの。」
「ああ、ラクスのことも気にしていたから、顔を見せてやってくれ。それじゃあ、詳細はメールする。」
 これで、刹那のユニオン行きは決定した。後は、誰になるのかだけの問題だが、アスランも、シンはダメと止めた。『吉祥富貴』の関係者は面が割れている可能性があるから、ちゃんと経歴も捏造してくれ、と、頼んでくれた。
「ということは、刹那の誕生日は、お祝いできないってことになるね。」
 せっかく、ここまで滞在して、あと少しだというのに残念だと、キラは言って苦笑する。
「来年でいい。」
「そうだね。来年は盛大にやろう。」
 それも、確定ではない。組織が動き出せば、刹那も悠長なことはしていられない。だが、生きていれば、必ず、お祝いはできるのだから、キラも、そう答えた。今は誕生日より世界を知ることのほうが大切だから、無理に引き止めるつもりはない。大国の思惑や、アローズの動きを知ることのほうが、これからの刹那には必要なことだ。




 偽造パスポートと、それに伴う経歴の捏造が終われば、エアチケットを取って、ユニオンへ赴くということで、予定は組まれた。これも、数日でできるので、刹那のほうはエクシアの整備を手伝うためにラボへ移動した。
 急遽、予定変更になったと、刹那は、通信越しに親猫に告げると、相手も、そうだな、と、頷いた。
「ということは、ラクスと一緒に戻って来るんだな? 」
「そうなるだろう。それから、人革連のほうへエクシアで出るつもりだ。」
「わかった。せっかくユニオンの基地へ入れるなら、そちらの様子も観察してこい。アローズについての反応も、な。・・・ただし、ラクスの迷惑にならないように単独行動は控えろよ? おまえの正体がバレたら、ラクスのほうが問題だから。」
「わかっている。戻ったら、一度、顔を出す。」
 予定が決まれば、刹那も止まらない。エクシアは連れて行けないが、戻れば飛び出すので、その準備もしておくために、寺へ戻らないつもりだ。それについては、親猫も何も言わない。それが、戦いに出向くために必要なことだからだ。アローズの母体であるユニオンに潜入するのは、これからのためには必要なことだ。単独で潜入できる場所ではないから、こういう機会は貴重だからだ。
「残念なのは、桜を見せられないっとことだけだ。綺麗なんだぞ? うちの桜。」
「来年か再来年にでも、ゆっくり拝ませてもらう。それは枯れないものなんだろ? 」
「ああ、そうそうに枯れないな。」
「なら、それでいいだろう。あんたこそ、体調管理をしっかりしてくれ。」
「わかってるよ。気をつけてな。」
「そっくり、その言葉は、あんたに返す。」
「はいはい。」
 予定は予定だ。どちらも、それは理解しているから、何も言わない。せっかくの休暇が、唐突に終わるのも、先を考えれば仕方の無いことだ。刹那も、残念だとは思う。だが、それは些細なことだ。親猫も、それは判っているから、引き止めたりしない。戦う相手の巨大さや組織力を把握すれば、こちらの力の限界も自ずと見えてくる。それを理解しなければ、無謀な戦いになる。




 刹那が、名前と身分を詐称してユニオンに出向いたのは、それから数日の後だ。それから、数日して、寺の桜は満開になり、刹那の誕生日は来た。これで、十九歳だ、と、桜を見上げつつ、ロックオンは頬を歪める。少しずつ成長していく刹那を見ているのは楽しい。戻ってくるたびに、少しずつ身体が大きくなって瞳の奥にあるものも強くなる。外へ飛び出させたことは、刹那を急速に成長させている。
 あと、どのくらい、こうやって戻って来てくれるだろう。組織が再始動すれば、こちらには、ちょくちょく出向くことは無くなる。そうなったら、そうなったで、神経に堪えるんだろうな、と、考えつつ本堂の前で桜を見上げていたら、外からハイネがやってきた。
「よおう、ママニャン。しばらく、厄介になるぜ? 」
 ただいま、『吉祥富貴』は、休業中で、スタッフは、本宅とラボで情報収集に勤しんでいる。ハイネが顔を出すのも、久しぶりだ。
「おまえさんが、そんな暢気なことしてていいのかよ? 」
 いつもの旅行カバンと共に本堂のほうへやってきたハイネに、ロックオンは呆れる。情報管理担当のハイネが、こんなところで暢気に居候できる状況とは思えない。さすがに、テロ関連のニュースは、減ってきたが、それでもまだまだ世間は騒がしい。ロックオンは、ニュース禁止で、情報の確認はしていないものの、それぐらいのことは知っている。
「一段落ってとこだ。こっちに影響はないんでな。・・・まあ、本宅には毎日、出勤するけどさ。」
 ほら、お土産と手渡されたのは、なぜかジャガイモだ。それも、生で、いろんな種類が袋に入っている。
「こふきいもでも食べたいのか? 」
「あんたの主食だろ? 種類が、よくわからねぇーから、店にあったのを全種類買ってきた。」
「普通のでいいんだよ。・・・あの・・・刹那は? 」
「ああ、ちゃんとオーナーの護衛を勤めてくれてるぜ。・・・それと、こっちはスイートポテト。お茶にしないか? 」
 別に、ケーキの箱も手渡された。そちらは、甘いものだ。じゃあ、紅茶でも、と、立ち上がろうとしたら、待て待て、と、ハイネが缶コーヒーを、さらに手渡す。それは、まだ温かくて、外の自販機で買ってきたらしい。
「もったいない。」