二次創作小説やBL小説が読める!投稿できる!二次小説投稿コミュニティ!

オリジナル小説 https://novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
二次創作小説投稿サイト「2.novelist.jp」
みっふー♪
みっふー♪
novelistID. 21864
新規ユーザー登録
E-MAIL
PASSWORD
次回から自動でログイン

 

作品詳細に戻る

 

かぐたんのぷちぷち☆ふぁんたじぃ劇場Q2

INDEX|6ページ/16ページ|

次のページ前のページ
 
【14】きたかぜとしょー……たいようと先生と天パ

昔々あるところに、目つきの悪いヒネクレもんのやさぐれ天パ野郎がおりました。ナリと生活スタイルは紛うことなきガチのおっさんなのにも関わらず、心はいまだ少年のナイーブなセンチメント☆を洗いざらしのドシフン布でざっくりぐるぐる巻きにした、ぶっちゃけしちメンドくさいメンタリティの持ち主でした。
こごえる風が吹きつける寒いある日のことでした。
トートツにどーしてもコンビニのほっといちごみるくが飲みたくなった天パ野郎は、連4ばりの襟立てインナーに片袖だけ上着の着物を引っ掛けたオリジナルスタイルで、向かい風に肩をいからせコンビニヘの道をザカザカ歩いておりました。と、川べりの柳の木の下で白い着物姿の先生にばったり出くわしました。
「……。」
先生は天パ野郎の締まらないカッコを見ると、長い髪に隠れた眉をちょっと顰めて言いました。
「ちゃんと上着を着ないと風邪をひきますよ」
「――えっ」
天パ野郎はあたふたしました。……――いやね先生、コレはアラサー男子のイカすオサレセンスで敢えてやってんですよ、とは、訴えかける先生の真剣な眼差しをひしひしビシビシ浴びるにつれて到底言い出せず、
「……ハイ」
天パ野郎はおとなしく頷くと、だらり垂れていた上着の右袖をそそくさと羽織り直しました。
「――ヨシ、」
手を出して襟合わせを整えてやると、にっこり笑って先生が言いました。
「前よりずっと男前になりましたよ」
「そっ、そぉッスかぁ〜?」
天パ野郎は真冬なのに見ている方が暑苦しくなるくらいのデレデレした態度に天パを掻きました。
またあるとき、今度はカンカン照りの暑い盛りの日のことでした。
またもやトートツにどーしよーもなくコンビニの氷いちご練乳が食いたくなった天パ野郎が例のハンパなカッコ(たぶん生地は夏仕様)で道をザカザカ行きますと、またまたばったり柳の木の下で先生に遇いました。
先生は天パ野郎のダレたカッコを一目見るなり眉を顰めて言いました。
「暑いならちゃんと全部脱いだ方がいいですよ」
「えっ」
――どーしたモンかな、天パ野郎は一瞬ためらいましたが、どのみち先生の眼力には逆らえませんので、だらしなく引っ掛けていた上着をえいやと剥ぎ取りました。上着の下は全身黒ジャーのチャリンコ便のにーちゃんみたいなスタイルだったので、なんとなくですが余計に太陽光を吸収して、曲がり角をとうに過ぎたお肌がじりじり焦げるカンジがしました。
「なるほど、私と逆おそろですね」
全身涼しげな白装束の先生がにっこり笑って言いました。
「そっ、そういやそうっスね〜、」
天パ野郎は額にダラダラ汗を流し、日頃の不摂生が祟って容赦なく突き刺さる日差しにぐらぐら眩暈を覚えながら天パを掻きました.
(……。)
そのようすを、道の反対側から日傘片手におやつのひんやり酢こんぶかじりながらじっと見ているひとつの影がありました。
「……銀ちゃん、ときどきあそこでああやってブツブツひとりごと言ってるアルけど、ダレと話してんだかサダちゃん何か見える?」
少女は背後の愛犬に語りかけました。
「わうっ!」
もふもふ白毛の巨体のわんこは、ひとこえ吠えるとしっぽをふりふりハッハッと舌を出しました。少女はため息をつきました。
「やっぱり、アタマの輪切り写真撮りにいっぺん大っきいトコ連れて行った方がいいかしんないアルな、」
酢こんぶ食い終えた少女が眉間に縦皺の難しい顔のまま差し出したハッピーこんぶパウダーまみれの手を、ワン公は無邪気にぺろぺろ舐めて夏場の電解質補充としましたとさ、オシマイ♪(……え?)


【15】新・三匹のよろずや〜無理からのヨメ入り

昔々あるところに、オンボロじむしょでギュウギュウに食い詰めて暮らす三匹のよろずやがおりました。
たまりにたまった家賃滞納を大家のマッダーム★にたのしいしべりあ行きご招待☆の最後通牒ちらつかせてせっつかれ、――もはやいっこくのゆうよもならん、自主節電中の薄暗いハダカ電球の下でスプリングがいっちまったソファにメンツを集め、三匹の中でいちばん年長のおっさん天パが、いかにもカオだけ深刻ぶった様子に言いました。
「……実のところな、ってゆーか見りゃわかる通りウチみてぇな小せぇトコがそもそも社員ふたり使ってる時点でどー考えてもオーバースペックなワケよ、よってキミたちふたりのうちのどちらかに、円満寿退社してもらおーと思いまっす(できれば相手方のガッツリ持参金付きでっ)!」
「ええーーーっ!!!」
そんな都合のいい作戦があるもんか、聞いてないよと眼鏡少年とアルアル少女は大ブーイングです。
「――わかったわかった、」
憤る若いモンたちを制しておっさんが言いました。「とりあえず、お前らの好みくらいはリサーチしてやっからよ、」
「ハイッ!」
間髪入れずアルアル少女が前のめりに手を上げました。――ヨシ言ってみそ、メモを片手におっさん天パが顎をしゃくりました。夢見る乙女のポーズに手を組んで、少女はつらつら述べました。
「やっぱー、ありえない少食ですーぐ貧血起こしちゃうひよわな私と違ってェ〜、ガンガン食ってガンガン飲んでガハガハけんこーてきによく笑う、とにかくカラダと胃袋だけはひじょーしき的に頑丈な人!!」
――あとー、どっちかっつーと年上よか年下のがいいアル、どっかのことわざで姉さん女房は赤フン腰パンしても探し出せっていうアルからな、ドリーミン少女は鼻息も荒く組んだ自分の手のひらにうっとりすりすりしました。
(……。)
――これは意外だな、聞いていた眼鏡少年は眼鏡の縁にきゅっとさわって思いました。というのも、同じふぁざこんこじらせ同盟として、彼女はてっきりシブい年上好みだとばかり思っていたからです、……って他にもっとツッコむとこあるだろとお思いかもしれませんが、何しろ彼はまだいろいろと本調子ではないのです。多少フォーカスのピントがボケていても致し方ないところなのです。
「……」
――む、り、と……、天パのおっさんは手元のアルアル少女の欄にさらさらメモを取りかけ、……イヤ、途中で約一名ばかし脳裏にうすぼんやりと候補者たりえるかもしれぬ特徴的なシルエットが浮かび上がりました。年齢条件には当てはまりませんが、彼もまた鋼鉄の胃と食欲を持つ地球外出身者であるという点では少女と共通項を持ち、が、曲がりなりにも王族の娘を妻に迎えた勝ち組にして既に二児の父親でもあり、地球を救った英雄的人物の側面を持ちながら同時に天下一の恐妻家でもあって……、
(……。)
……やっぱム、リ、と……、おっさんはかしかし天パを掻いて最終的にノートに書きつけました。