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それはまるで木漏れ日のように

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「やめてよ!放して!」
「そんなに嫌がるなよぉ、お兄さん達と向こうで楽しいことしようよぅ♪」
「ふざけんな!誰がアンタ達なんかと・・・」

 留姫は必死で抵抗する。
ふと、男の一人の視線が留姫の持っている袋に止まった。

「・・・それ、さっきも大切そうに見ていたな」
「! ちょっ、何すんのよ!!」

 男は留姫から袋を奪う。
 中身を開け、緑色の綺麗なグラスを舐めまわすように見る。

「ふーん・・・プレゼントか?」
「なっ・・・!」
「そんなに大切なものなら壊されるのは嫌だろう?」
「!! ひ、卑怯者!!!
 いいからそれ返して!早くしないとジェンが来ちゃう・・・ッ!」

 留姫は慌てて口を押さえたが時既に遅し。

「ジェン?それが男の名前か?」
「違ッ・・・!」
「君が大人しく付いて来ればこのグラスにも男にも何もしねぇからさぁ。」

 男達は不敵な笑みを浮かべる。

「嫌!放して!!」
「うるさいヤツだな!!グラスがどうなってもいいのか!?」
「嫌!嫌!嫌嫌嫌嫌!!!!」





「ルキ!!!!!」

遠くから声が聞こえた。
 それは、ずっと来ないでほしかった・・・でもずっと聞きたかった・・・アイツの声。


「ジェン・・・!」


「あぁ?コイツがそのジェンってやつか?」
「色男さんよォ、君の可愛い彼女は貰っていくぜ?
痛い目見たくなかったら大人しく立ち去れぇ!」

「ルキから手を放してください」

「・・・オイ、お兄さんを怒らせるのも大概にしろよォ?
立ち去れって言ってんのが聞こえないのかゴルァ!!!」

「そのセリフ、そっくりそのまま返します。
 その子を放せと言っているんです・・・」

 緊迫した空気が流れる。
 留姫はゴクリと唾を飲んだ。

「もう一度言う。彼女を放せ。
・・・手は・・・出したくない」

「オイ・・・そんな舐めたこと言ってっとこのグラス踏み潰すぞ?」
「! それは駄目!!!」

 留姫の言葉を聞き、健良は即座に男の手からグラスを奪い取ろうとした。

【ドカッッッ!】

「ぐッ・・・!」
「ジェン!!!!」

 男の右足が健良の喉元にクリーンヒットした。
 そしてそのまま・・・

【ガシャーン―――・・・】

「!!!!!」

 男はグラスを床に落とした。
 グラスはいくつもの硝子の破片をばら撒きながら割れてしまう・・・。

 健良はふらふらと体制を整え直し、床にペッと血を吐き捨てた。

「お・・・彼女の大切なもん壊されてやる気になったか色男?」
「手は出さない・・・」
「・・・まだ言うか」

【ドカッ!バキッ!】

 男は健良に殴る蹴るを繰り返す。

「オイオイ、趣旨変わってんじゃねぇかよォ!」
「俺はなァ・・・こういういけ好かないやつらが大嫌いなんだよ」
「ジェン!もうアタシのことは良いから逃げて!
年上の男が5人もいるのにアンタ一人で何も出来るわけない!!」

「はぁッ・・・はぁッ・・・!
(テリアモン・・・君ならどうしてただろう・・・)」

【バコッッッ!】

「はぅッッ!!?」
「ルキ!!」

 突然拍子抜けするような悲鳴が聞こえてきた。
 留姫が目の前の男の股間を蹴り上げたのだ。

「てめッ!この女ぁぁぁ!!!!」 
「ジェン早く逃げ・・・ッ!」

【ドカッ!】

「ルキ!!!」

 股間を蹴られた男が留姫の腹を殴った。
 留姫は意識を失いかけたが、何とか保つ。

「・・・こうなったら二人とも仲良く殺してやるよ・・・」

 一人の男がポケットからナイフを取り出す。

「まずはてめえからだ・・・!」

そう言うと男は健良に向かって走り出した。

「・・・・・・」