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こらぼでほすと 一撃2

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「てか、何品作るつもりなんだよ? 」

「ちまちま、いろいろなんだろ? 」

 確かに、ちまちまいろいろとは言ったが、そんなに食えるかーっっという感じの食材の

量だ。一個ずつ食材はカートに放り込まれているが、それが十個以上となると、無理があ

る。

「もういい。」

「そうか? でも、カロリーは少ないぞ? 」

「そこじゃねぇーよ。おまえ、イソジーズと俺らで、そんなにいらんだろ? 」

「ちょこっとずつ用意するなら、こういうことになるんだって。煮物は、ある程度の量を

作らないと味が染みないからさ。」

「残るだろ? 」

「ああ、心配ないぜ。俺と三蔵さんで消費すっからさ。」

 なるほど、そういうことになるわけか、と、ハイネは苦笑して文句は引っ込めた。夫婦

ふたりだと、それぐらいで、なんとかなるらしい。




 カガリの別荘は、オーヴの首都がある本島から少し離れた場所にある。ただし、ジェッ

ト機が降りられる滑走路と、地下には厄介な連中の修理をするためのファクトリーも隠し

ている一種の要塞並の施設だ。もちろん、地上には、かなり大きな建物やプール、温室、

テニスコートなんていうアクティビティな施設も完備した別荘が建っているので、見た目

にはセレブな別荘という感じにはなっている。

「三輪バギー? 俺はいいけど、フェルトは運転できるのか? 」

 朝から、カガリが島の中心にある山の頂上まで三輪バギーで飛ばそうとか言いだしたの

で、悟空が、そこいらを注意した。

「フェルトは、私の後ろだ。」

「おい、アスハ、おまえの運転なんか危険だろーがっっ。それなら、俺かレイの後ろに乗

せる。」

 爆走するのは目に見えているから、シンも止める。本日は、キラとアスランはオーヴの

実家に帰っているので留守をしている。実の両親ではないが、育てて貰った実の両親より

両親らしい人たちだよ? と、キラは笑って出かけた。その代わり夕刻には、歌姫が合流

する。なんだかんだと、毎日、新しいことをやっているのでフェルトもホームシックにか

かる暇もない。一日走り回って、バタンキューしているからだ。

「うるさいな、私だって、後ろに人を載せていれば、安全運転するぐらいの常識はあるん

だ。行くぞ、フェルト。」

 ヘルメットとサングラスを装備されて連れ出される。外には、すでに、三輪バギーが準

備されている。

「もう少し暑い季節なら、ビーチで泳げたんだがなあ。」

「昨日、プールで泳いだよ? 」

 昨日は夕食後に腹ごなしとして屋内プールで遊んだ。いや、遊ぶっていうより、シンと

カガリと悟空の遠泳大会になっていて、フェルトはぷかぷかと浮き輪で浮いていただけだ

。キラも同じ様に浮いて、ふたりともアスランとレイに引っ張ってもらったりした。

「海だと、ジェットスキーとかバナナボートとか、マリンスポーツが一通りできるんだ。

今度は、夏に降りて来い、フェルト。ボティボードを教えてやる。」

 カガリは、約束通り、フェルトの相手をして楽しませてくれる。なんていうか、頼りに

なる姉ができたって感じだ。人見知りもさせないように、してくれている。クリスが居た

時は、地上降下したらショッピングしたり、王留美の別荘で遊んでいたが、ここまで構わ

れたことはない。歳が近いというのもあるのだろうが、カガリのほうが気さくだ。

「うん、夏ぐらいなら降りられると思う。」

 今回のフェルトの休暇は二週間。そして、その後のティエリアは一ヶ月の予定だ。だか

ら、その後、刹那の予定がなければ降りて来られる。刹那も長くても一ヶ月の滞在だから

、夏という期間のどこかで降りてくることになる。

「梅雨はティエリアか? 」

「うん。」

「じゃあ、梅雨明けしたら、降りて来い。予定を空ける。」

「うん。でも、刹那が帰ってきたら、あたしは、真夏になると思う。」

 刹那とティエリアとフェルトの予定は、重ならないように組んでいる。なるべく、ニー

ルが独りにならないように、という配慮だ。そんな話をしていたら、シンたちは、さっさ

と出発してしまった。山への土砂道を煙を立てて走っているのが、別荘からでもわかる。

それを観ていたら、カガリが、うっすらと微笑んで、肩を叩いた。

「フェルト、私は、おまえの歳で国家元首になった。そこまで、たくさん、友達も家族も

仲間も失くして、でも戦ってきた。まだ、先は戦いばかりだが、やれることはやろうと思

っている。・・・・・・おまえも、私と同じ様に、たくさんのものを失くすだろう。けど

、そこで立ち止まらずに進んで行け。立ち止まったら、失くしたものも無駄になる。挫け

そうになったら、私やラクスを頼れ。私たちは、おまえより少し先を歩いているから、お

まえの手を引いて前へ引き摺ってやれるから。また、一人で歩けるようになるまで前へ無

理矢理にでも引き摺ってやる。」

 今思えば、随分、遠くまで来たなあーと、カガリだって思う。理念だけでは、どうにも

ならない。言葉だけでもダメだ。最初の青かった自分を鑑みると、なんとも恥ずかしいヤ

ツだと笑ってしまう。きっと、今も亡き父親たちからすれば、青臭いのだろうが、少しは

成長したつもりだ。フェルトの手を引いてやるぐらいには。

「カガリ? 」

「組織にいる限り、おまえは戦って行くことになるだろ? 私も、この国のために戦って

行く。たぶん、方法は違うけど、考えていることは似たようなものだ。だから、同じ戦っ

てる同志として、お互い、できることはしたいと思うんだ。とりあえず、私のほうが年上

だから、そう格好をつけておく。もし、私が挫けてたら、フェルトが引き摺って蹴飛ばし

て、私を前に進めてくれ。」

 先を進んでいるからって、無事とはいえない。カガリが立ち止まることもある。だから

、同じ様に蹴飛ばして引き摺ってくれ、なんておどけて頼む。

「・・・うん・・・・そうだね。あたし、前に進まないとね。」

 組織は現在、再構築中だ。ティエリアが、イアンたちと一緒になって、分断されている

組織を復活させている最中だ。これが終わって、新しいMSがロールアウトすれば、再び

、組織は再始動する。紛争を根絶する理念は、組織がなくなるまで求められる。フェルト

も、そのために組織にいる。

「ああ、お互い、気張ろうな? ラクスも仲間だぞ? 」

「そうだね。」

 フェルトに伝えたいと思っていたことを伝えた。さあて、私たちも山頂まで突っ走るぞ

? と、バギーのエンジンをかけた。

「でな、遊ぶ時は、目一杯だっっ。」

「はぁーいっっ。」

 れっつらごーと、カガリがアクセルを全開にすると、フェルトはきゃあーと楽しそうに

叫んで、カガリの腰に回した手に力を込める。

 やっぱり、カガリは爆走しちゃって、フェルトはジェットコースター気分を味わったが

、それはそれで楽しかったらしい。





 さて、お寺は、本日より、夫婦水入らずだ。これといって、何もない。さすがに檀家さ
作品名:こらぼでほすと 一撃2 作家名:篠義