二次創作小説やBL小説が読める!投稿できる!二次小説投稿コミュニティ!

オリジナル小説 https://novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
二次創作小説投稿サイト「2.novelist.jp」

こらぼでほすと 一撃2

INDEX|6ページ/8ページ|

次のページ前のページ
 

 と、戻ってくる。前回、実家に戻った時に、具合の悪いニールのことを話したから、今

回も何かしらの見舞い品を製作するらしい。

「でも、僕たち、あっちに帰るのは、明後日だよ? 生モノ厳禁だからね。」

 まだ、カガリのところで、二日ばかり滞在予定だ。生モノはまずい。というか、そこで

消費されてしまう。で、そこまで叫ぶと、カリダが台所から戻って来た。

 新しいものだが、栄養があって日持ちするから大丈夫、と、ブイサインだ。月餅という

のだ、と、説明してレシピを見せられた。すでに、餡は準備したから詰めて焼くだけだと

いう。

「じゃあ、ちょうどいいや。僕とアスラン、ちょっと出て来るから夕方までに一回、戻る

よ。」

 カリダのことだから、他のものたちのためにも大量に作るのだろう。だから、ちょうと

゛戻ってくる、いい口実ができた。

「包むの手伝いましょうか? 」

 で、大量なら、手伝いだけはしておくか、と、アスランは食事を平らげるスピードを増

す。あなたは手伝わなくていいから、と、キラが言う前に、カリダは止めた。実の息子の

家事能力が壊滅的なのは、カリダも承知している。

「わかってるよ。それなら、とーさんと、デートでもしてこようかな。」

 その話を居間で聞いていた父親のハルマのほうが、庭仕事を手伝え、と、大声で命じて

いる。

「キラ、たまには手伝いしておいでよ。包むだけなら、一時間ぐらいだからさ。」

 ぶーーと不満顔のキラの頬にキスを、ひとつして、アスランが宥める。相変わらずねー

とカリダは大笑いして台所へ戻って行った。





 ダコスタは、ハイネと交替で休暇に入ったのだが、さすがに、夫婦水入らずを満喫して

いるだろうバルトフェルト家に顔を出すのも気が引けて、マンションでのんびりしていよ

うと思っていた。いたのだが、ハイネから、「一回だけ、寺に顔だけ出してくれ。」 と

、頼まれてしまった。あそこも、夫婦水入らずだと思うのに、と、気が重いながらも頼ま

れたから、と、寺へ顔を出した。

 寺は、オールセルフサービスだ。玄関から勝手に居間まで行かないと対応してもらえな

い。

 だが、そこに人影がない。戸締りしていないから、どこかに坊主なり女房なりはいるは

ずだか、あまり探したくないな、と、回廊へ出たら、本堂の前で夫婦揃っていた。そして

、何かしら腕を組んで考え込んでいる。これなら、顔を出してもよかろうと近付いたら、

ボードゲームをしているらしい。だが、どっかおかしい。

「こんにちは。」

「よおう、ダコスタ。お疲れさん。」

「何やってんですか? 」

 盤上には、坊主側には将棋のコマ、女房側にはチェスのコマが並んでいる。どう見ても

異種格闘戦だ。

「暇つぶしのゲーム。三蔵さん、もうやめましょう。」

「まあ、待て。これで王手だ。」

 ぴしっと盤の上で、角を打つと、坊主が顔を上げた。で、女房のほうは、「はいはい、

俺の負け。」 と、立ち上がる。

「こらっっ、まだ逃げられるだろ? 」

「じゃあ、ダコスタ、続きやってくれ。俺、お茶入れてくるよ。」

「へ? これって・・・」

「俺はチェスのルール、三蔵さんは将棋のルール。チェスできるよな? 」

「どっちも知りませんよ、俺は。」

 できるボードゲームが互いに違うので、こういうことになっているらしい。暇なんだな

、と、ダコスタにもわかる。

「さっきの挟み将棋を教えてあげてください。あれなら簡単だ。」

「俺の勝ちでいいんだな? ママ。」

「はいはい、いいですよ。」

「じゃあ、明日は付き合え。」

「パチンコは、もういいです。俺にはよくわからない。」

「外食すんだよ。デートしたいって言ったのは、おめぇーだろ? 」

「あはははは・・・・それは嬉しいな。ついでに、本屋もコースにいれてください。」

「好きなとこでいい。」

 じゃあ、そういうことで、と、ニールのほうは、回廊を降りて行った。やっぱり邪魔じ

ゃないか? と、夫婦のやりとりを聞いていたダコスタは肩を落としたが、坊主は、「座

れ。」 と、命じてくる。

「お邪魔だったら失礼します。」

「ああ? あいつ、今から昼寝だ。ダコスタ、留守番してろ。」

 昨日、パチンコに行ってみたものの、ニールは楽しいと思わないという感想だった。ま

あ、こんなゴールデンウィークのパチンコ屋なんて、当たりが悪くしてあるので、ニール

は、ちっとも当たらなかったのも、その原因だ。あんただけ行って下さい、と、言われた

ものの、一人にしておくと碌なことがないから、坊主も寺で暇つぶしをしていた。そんな

ところに、飛んで火にいる夏の虫だ。ダコスタに留守番させておけば、自分は出かけられ

る。

「え? 」

「俺は、ちょっと出て来る。」

「え、いや、あの。」

「あいつは昼寝するから。居間でテレビでも雑誌でも好きなようにしてればいい。」

 さあて出かけるかーと坊主は、ダコスタの意見なんぞ聞く耳はない。途中で、「晩ご飯

までに帰ってくださいよー。」 という女房の叫びが聞こえて、さらにスクーターのエン

ジン音がした。



・・・・・なんで?・・・・



 よくわからないが、まんまと使われているダコスタだった。





 翌日、午前中に、きゅうりの水遣りをして、ふらふらと寺の夫婦は出かけた。これとい

って用事はないから、とりあえず、女房の希望の本屋まで、ということで、公園を突っ切

って行くことにした。ゴールデンウィークの最終日だからなのか、子供がたくさん遊んで

いる。

「平和ですねー。」

「今日は、子供の日だからな。」

「子供の日? 祝日なんでよね? 」

「こっちじゃ、季節の変わり目ごとに、疫病とか厄災を祓うって風習があってな。ついで

に、ゾロメの今日は野郎の誕生を祝う意味合いの日になってる。おまえの誕生日が、ちょ

うど、女の子の祝い日だ。」

 女房は、三月三日の生まれで、毎年、この日はひな祭りというイベントが店でも行われ

ている。ああ、と、女房のほうも頷いた。

「いろいろと地域によって違うんですね。」

「特区は、かしわ餅で祝うが、俺たちのところは、肉粽だ。それと、風呂に葛蒲を浮かべ

る。これは、病気避け。」

「しょうぶ? 」

「花だ。今日なら、花屋で売ってるぞ。」

 さすがに、こんな大都会の公園に葛蒲は咲いていない。三蔵は、別に何もしないが、八

戒が、ちゃんとかしわ餅と葛蒲は届けに来る。今年は、女房が居るから来ないだろうと踏

んでいる。

「それは、悟空たちにも該当してるんですか? 」

「まあ、ガキ全般だから、年少組は該当してるな。」

「じゃあ、えーっと、カシワモチとニクチマキとショウブを買って帰りますか。それ、花

屋とスーパーで揃うのかな。」

 本日、悟空はフェルトと帰って来る。明日から、学校があるから、学生たちは連休は、

ここで終了だ。「吉祥富貴」も、明日から通常営業だから、他の者も戻ってくるだろう。

だから、そういうイベントであるなら用意しておこうと、女房のほうは思ったらしい。
作品名:こらぼでほすと 一撃2 作家名:篠義