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野沢 菜葉
野沢 菜葉
novelistID. 23587
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きらきら星 【中編】

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10
一瞬オレの世界から色が無くなった…。

頭がついていかない。何も考えたくない。

現実をしっかり見せられた。目を逸らすなと言わんばかりに。

「…はは、バカだオレ。」

いつかは手離さないといけないってわかっていたのに…



「前から思ってたんだけどさぁ、栄口と坂井さんって似てるよね?」

思いもしない名前が出てきてドキッとする。
「えっどこが!?」
「なんだろう…こう雰囲気がさ、優しい感じ?マイナスイオン出てますよーみたいな?」
「はは、なんだよそれ!」

「うーん、とにかく似てるなって思ったの!あっでも一番は笑った時かな!!」
少し頬を染めながら話をしているのを見て、嫌な予感がした。

そして気づいてしまった…

「もしかしてさぁ、水谷の気になる人って坂井さん?」
恐る恐る聞くと、ビクッとして、そのあと照れ笑いを返してきた。


そのあとのことをオレはあんまり覚えていない。
気が付いたら授業をサボって、以前水谷と来たベンチに腰かけていた。


水谷の中で「オレが理想=オレが好き」ではなかった。
きっと男というだけで除外されているのだろう。
当たり前だ。オレがおかしいのだから。

それに坂井さんに好意を持っているから、オレにも好意を向けてくれたのかもしれない。
だけど、もし逆だったら…


だとしても、オレが男で水谷も男である限り、水谷がオレを選んでくれることはないだろう。

そんなことわかっていた。
「…わかってたけどさぁ…」
じゃあオレが女のコだったら…水谷が女のコだったら…
水谷はオレのことを選んでくれた?


いっそ、全然似ていない人を選んでくれたら良かったのに…
あんな風に言われたら、例え叶わないとわかっていても嬉しいじゃん、期待しちゃうじゃん。

「…みずたにのばーか」
辛い時泣いていいよって言ってくれたお前だから、
お前のことで泣いたっていいだろ。

「…うっ…ひっく…」
オレは願いが叶わないことを知っている。
永遠なんてないことも知っている。

十分わかっていたのに、願ってしまった…勘違いしてしまった…

友達ならもっと長く一緒にいれたはずなのに、欲張って好きになってしまった罰だ。

友達に…早く友達に戻らなきゃ…


だけど

あの笑顔も声も温もりも…

オレのために向けて欲しい


「好きだよ…みず…たに…」


ごめんね。ちゃんと友達に戻るから。


だからもう少しだけ…
お前のことを想って泣かせて