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野沢 菜葉
野沢 菜葉
novelistID. 23587
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きらきら星 【中編】

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11
「久しぶりに休みだ―って思ったらテスト週間かよー!!」
「現実は厳しいよなぁ。」
「栄口、明日古典教えてくんねぇ?」
「いいよー。じゃあ明日の放課後一緒に勉強しよっか。」
「あっ俺も!勉強会参加してー!!」
「俺も俺も!!」

「結局みんなかよー!あっ水谷は?」
「へっおれ!?」
そこで初めて水谷が会話に参加した。
さっきから携帯を弄っていたので、内容を聞いていなかったようだ。

「明日の放課後に勉強会やろって話になったんだけど、水谷も参加するか?」
「あっその話か!あー悪いけど俺パス!ごめんね。」

「あーあれだろー!!彼女とデートとか!?」
その言葉がチクリと胸に刺さる。

「まあ、そんなとこかなぁ。」
えへへと幸せそうに笑う水谷を見れば、対照的にどんどん暗くなる自分がいた。




あれから暫くして、水谷と坂井さんは付き合い始めた。
オレが水谷も気になっていることを言うと、坂井さんはいろいろ頑張ったらしく
告白も見事成功した。

そのあと、なんとなく噂が広がって1組と7組では知っている人が多いけれど、
坂井さんはオレが協力してくれたと思ったみたいで、
『栄口くんのおかげで上手くいったよ。ありがとう。』
と告白成功後すぐに教えてくれた。

 「そっか、よかったね。」
そう言ったオレは上手く笑えていただろうか。

水谷は彼女が出来てことでオレと一緒にいる時間は減ったが、オレとの時間も大切にしてくれた。
 1組にも前と同じように来てくれた。
ただ、それに坂井さんとの時間がプラスされただけだ。

2人で楽しそうに笑う姿や、水谷が彼女に優しくする姿をみると、
何故か無償に目の奥と胸が痛むので、なるべく見ないようにしていた。

水谷に会わないようにと、時々休み時間にトイレにこもっていたこともあった。

辛いのに、目を背けてしまうのに、オレは親友の位置を手離さなかった。
この場所がなくなったら…水谷のそばにいられなくなったら…そう思うと辛くても我慢できる。

親友の恋さえ応援できないのに…
自分の諦めの悪さに吐き気がした。


ある日の練習終了後

「栄口、ちょっと。」
みんなでグラウンドから部室へ戻る際、阿部に呼ばれた。

「ん?何?」
オレは少し離れていた阿部のところへと駆け寄る。

阿部はオレの顔をじーと見つめると(睨んでいるようにもみえるけど)、
ふぅとため息をついて言った。

「最近寝てんのか?」
「!?ねっ寝てるょ…」
「……練習に支障きたしてねぇみたいだからいいけどな。これ以上だとケガすっぞ。」
「ぅん。わかってるよ。ちゃんと気をつける…。」
「…あいつか?」
「!…あっあいつって!?」
思いっきり動揺してしまったのでさらに焦る。

「…まぁ言いたくないならいいけどよ。潰れる前に言えよ。」
そう言って、オレの頭をポンッと叩いて部室へと向かって行った。

阿部は言葉は少ないけど、いろいろ心配してくれている。
今のもオレが言いたくないことを無理に聞かないでくれた。

「あっ阿部!あんがと!!」
もう歩き始めている背中に叫ぶと、阿部は振り返らなかったが、右手をヒラヒラと振って答えた。

誰かがいてくれるって嬉しいな…。
オレはまだ大丈夫だよ。












その日は水谷と練習後に寄り道をする約束をしていた。
最近は彼女との電話やらなんやらで寄り道することが少なかったから、
久しぶりに一緒にいられるのが嬉しかった。

阿部にはあんなこと言われたけど、水谷と一緒にいられるって疲れなんて吹っ飛ぶんだ。
この後のことを考えると自然と頬がゆるむ。
「オレって案外単純だな。」
そっと呟いて、また笑顔になれた。

「さかえぐち~何にこにこしてるの?」
オレが着替え終わって荷物の整理をしていると、横からひょっこりと水谷が顔を出した。
まさか、久しぶりに水谷と帰れるのが嬉しいとも言えないため、適当にごまかす。

「えっ別に何もないよ。」

「うそ。だってさっきは暗い顔してたもん。」
そう言うと、さっきとは変わって真剣な表情になった。

「…え?」
「気づいてないと思ってた?栄口最近ずっと暗いよ。また辛そうな笑顔してる。」
「そんなことないよ。ちょっと最近寝つきが悪いせいかなぁ。」
動揺を隠してなるべく普通に返す。
しかし水谷は引き下がってくれなかった。

「寝付けないって何かあったの?俺話し聞くよ?」
こんなに強引に迫ってくる水谷は初めてだった。
水谷は言いたいことは本人が自然に言うのを待つタイプだと思っていたから。

「本当に何もないって。ただ寝られないだけで…でも今日は寝られそうだし!」
だから大丈夫とでも言うように笑って見せる。

「…俺ってそんなに頼りない?俺だって栄口のために頑張れるよ!」
なんでこんなに問いただすんだろう。訳がわからなくなってきた。
でも、言えないんだよ。そばに居たいから言えないんだよ。

「俺たち親友じゃん!!」

オレは親友じゃない。だから言えないのに。
何で?何で水谷??

オレは今の関係崩さないように頑張ってるのに、
何で聞こうとするんだよ…

「…栄口?」
水谷の手が頬に触れた途端、オレの中で何かが弾けた。

パシンという音が空を切る

「!?」

「…余計なお世話なんだよ。これ以上オレに構わないで!!」
大声を出してしまったことに気づき、これ以上この場所にもいたくないため、
オレは慌てて荷物をつめて部室を飛び出した。