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野沢 菜葉
野沢 菜葉
novelistID. 23587
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きらきら星 【中編】

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12
…やってしまった。

でも、何て言えば良かった?
本当のことは言えやしないのに。
友達としてやっていこうって、友達としてそばにいようって、
それだけで十分だって思おうと頑張ってたのに…
何で踏み込んでこようとするんだよ。

本当のことを言うのが怖くて…踏み込まれるのが怖くて…あんなことしちゃったけど、
「…やり過ぎたかな」
水谷の手を拒絶した右手より、何故か胸がひどく痛んだ。



次の日からオレと水谷の関係は急激に崩れていった。
オレも何となく声がかけられないでいると、向こうもそう思っているのか、
お互いが避けている状態になっていた。
水谷は少し怒っているようにも見えた。

まぁあんなこと言われたなら当たり前か…
「嫌われちゃったかな…」
でも、本当の気持ちを言って気持ち悪いって嫌われるより、
こんな風に喧嘩して嫌われる方がまだマシかな…












ズキズキと頭が痛む。今日は一段と身体がダルかった。

昼休み食欲もないので、ちょっと空気を吸いに行こうと外に出た。
調子が悪い時は、以前水谷が泣かせてくれたベンチに行くようにしていた。

あの時からオレにとっては特別な場所…

ベンチが近づくにつれて、笑い声が聞こえてきた。
嫌な予感がしてそっと覗いてみると、水谷と坂井さんが楽しそうにしゃべっていた。

ズキズキズキ…

「あー頭いてぇ」
オレは天を仰いだ。

今日も清々しいほど真っ青な青空が広がっていた。









練習にも力が入らなかった。
辛い時でも練習だけは頑張れたのに…
身体が思うように動かず、攻守ともにボロボロだった。

「一旦休憩―!!各自水分とってねー!」

モモカンの言葉とほぼ同時にその場にしゃがみ込む。

「ふぅー」
…やばいな、本当に調子が悪いかも。

「おい、栄口大丈夫か?」
巣山の声にビクッとする。
心配させてはいけないと思い、急いで立ち上がると…

グニャリ

視界が歪んだと思うと同時に急に真っ暗になる。

「栄口!!」
意識が遠のいていく中、大好きな声が聞こえた気がした。





遠のいていく背中を必死に追いかける。
(待って。行かないで。)

そばにいるだけでいいんだ。それ以上望まないから。
(神様お願い…連れて行かないで。)


(水谷…ごめん…ごめんね)