救われない報われない
帝人は殺された。理由という理由なんて無い。ただ、そこに居たからという安易な理由。暴力団の暇潰しに巻き込まれ、帝人は死んだ。
その死体も無惨なもので、あの新羅でさえ顔をしかめたほどだった。それをあの臨也が受け入れられるはずがなく。
最初は人と同じようにボロボロ泣いていたかと思うと、気が付いたら新宿へと引きこもっていた。
今思うと、彼は帝人を殺した暴力団達を突き止め報復する算段をたてていたに違いない。
臨也が引きこもってから数日、ニュースで数個の暴力団が瓦解したとの報道が流れた。それからだ。不審な殺傷事件が起こり出した。
被害者達に共通点はなく、老若男女、まして子供と限らず、首を切られ心臓をめった刺しにされ、四肢を切り落とされるという悪逆非道な行為。
その事件の内容を聞いた時、帝人の知人達は思った。『帝人と同じ殺され方』だと。そして、直ぐさま思い立つ。この事件の犯人の顔を。
色々な人間は臨也を止めようとした。静雄などは今度という今度は臨也を殺そうとした。
けれど、臨也は捕まることなく、死ぬこともなく今でも新宿に存在している。警察は証拠が無いと動けない、と言い、
静雄は新宿にまで出向いてみたものの臨也の策略により静雄の方が警察に捕まってしまった。
未だ誰も、臨也を止められることができなかった。
作品名:救われない報われない 作家名:霜月(しー)