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ぐらにる 流れ4

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っている。慌てて、パクついたら、また、嬉しそうに、彼はフレンチトーストを切り分け

ている。そういうことをするなら、と、こちらも、フォークを差し出した。
「じゃあ、あーん、グラハム。」
「姫から下賜されるとは、光栄だ。」
「いや、こんなことしてる場合じゃねぇーよ。遅刻するから急げっっ、グラハム。」
 時計は、そろそろ出かける時間を指している。急がないと遅刻するから、そこからは無

言で食べた。なんで、男同士で、あーんなのか、思い出したら頭痛がしそうなことを、朝

からやらかしたので、少し凹んだ。


 週末が近付くと、グラハムは、「嫁に来ないか。」 とか「転職しないか。」 と、何

度も言うようになった。つまり、一緒にユニオンへ行こうと誘ってくる。それは、聞かな

いフリをしていた。

・・・・エージェントとしては願ったり叶ったりなことだろうけどな・・・・・

 グラハムが、フラッグファイターであるなら、それと接触していれば、ある程度の情報

は手に入るだろう。末席であろうと出撃はするだろうからだ。
「なあ、ニール。ユニオンにも軍事関連の仕事はある。なんなら、私が紹介してもいい。

どうだろう? 一緒に来ないか? 」
「それで、俺はあんたの従卒とかで、傍にくっついてろってか? 」
 すると、彼は、ちょっと困った顔をして、「部下はダメだ。」 と、俺の頬に手を沿わ

せた。
「なぜ? 」
「私は部下を殺すので有名なんだ。だから、きみを部下にはしない。従卒なんかでなくて

技術部門の仕事を紹介するさ。そちらに友人がいるから融通は利く。」
「物騒なこと言うんだな、エーカー? 」
「事実だよ。私が率いていた隊は、ほとんどの部下が、ここ数年ほどで殉死した。・・・

だが、それについて弁解するつもりはないし、それは事実だからな。」

・・・・・それって、俺たちと戦ってた部隊だったってことだな・・・・・・

 ここ数年、組織が大々的に動き出してから、どれほどの犠牲があるかはわからないほど

だ。たくさんのMSを葬り去った。もちろん、そこの搭乗していた人間も同時に、だ。グ

ラハムが、どこの作戦に参加していたのかはわからないが、確かにフラッグも例外ではな

い。
「そういう話は聞きたくない。」
「・・・だが、きみは、兵器を開発しているのだろう? それが、何を引き起こすのかは

知っているはずだ。」
「わかっている。だから、今は聞きたくない。」
 間接的に関わっていると思われているが、実際には、直接、手にかけている立場だ。彼

とも、同じ戦場に立っていただろう。それを、今、突きつけられるのは、かなり辛い。
「しばらくしたら、きみも暇になるだろう。・・・・そうなってからでいい。今の職場を

離れる算段を付けてくれ。」
「暇? 」
「今は、地球規模で軍隊の統合が始まっているから、兵器の需要が伸びている。だが、統

合が終われば、平和にはなる。」
・・・・そうなってから、また指示が出れば、俺は戦うことになるんだけどな・・・・
 現在、組織は壊滅したと思われている。世界が、軍事だけとはいえ、統合されてしまえ

ば、一応は恒久的な平和は確保される。ただし、それが表向きであれば、やはり動くこと

になるだろう。あの戦術予報士が、まだ考えていることは、それがあるからだ。
「平和になったらな。・・・・お茶でも飲むか? 」
「いや、私はいらない。ニール、テロは憎いか? 」
「憎い。」
「だから、きみは、それを打ち負かせるものを作っているんだな。だが、完全になくなる

ものではない。人間というのは戦う生き物だ。和解することもできるが、それは表面的な

ものだ。火種は、どこにでも転がっていて、いつ勃発するかなんてわからない。・・・だ

から、兵器を作ることはやめて、人間が生きるために必要なものを作れば、どうだろう?

 きみは、この話をすると辛そうにする。そんなに辛いなら、記憶を風化させられること

をするほうがいいと思うんだ。」
 ソファに座っていた、その腰を引き寄せられた。それから、その手は俺の頭を、彼の肩

にもたれさせる。そうではない。グラハムが敵であることを、今、認識させられるのが辛

いのだ。五日後には別れてしまう相手で、それまでは恋人ごっこをしている。ニールとい

う名前を呼ぶのは、彼だけで、その名前で呼ばれていれば、組織のことは考えなくていい




・・・だから、話題を変えてくれ・・・・もう聞きたくない・・・・
「聞きたくない。」
 グラハムに抱きついて、耳元で囁いた。すると、とんとんと背中を叩かれる。
「わかった。・・・それでは、週末のことを提案しよう。今週は、姫のご希望に添うてみ

ようと思うんだが、どこか行きたいところでもあるか? 」
「・・・どこ行っても監禁されるんなら、希望する意味なんてないだろ。」
「ああいう濃厚なのが、お好みか? 姫。」
「・・違う・・・・いや、違わないか・・・どこでもいいけど、考える余裕がない状況に

追い込んでくれ。」
「姫のご要望を、出来る限りクリアーさせていただけこう。眠る時すら、余裕がないよう

に、私のこと以外を考えられないように。」
 やさしく頭を撫でられて、そう耳元に囁かれる。こういうことができるのも、口にする

のも、これで最後だろうと頬を歪めた。


 希望通りの週末は、用意されていた。また二日間、時間も、その他も考えなくて良かっ

た。流されて、そのまま、ユニオンに行ったら、さぞかし楽なことだろうと、ふと頭を掠

めて苦笑はした。そんなことは望んでいない。どこへ落ち着いたとしても、心は穏やかに

なれないから、まだ直接、手を出せる現状が一番、心が穏やかだ。



 その後の三日間は、慌しく過ぎた。カリキュラムの最後の確認とかレポートなどがあっ

て、ゆっくりしている暇はなかったからだ。レポートをまとめるために用意されていたの

は二日間で、その資料を確認しているだけで一日が過ぎた。こういう門戸の広い研究施設

は、そのレポートを結果として修了書を出す方式になっているから、これだけは書かなけ

れば、一ヶ月の成果が公にならない。
 俺は、こういうのが苦手だ。修了書がなくても、文句は出ないだろうが、せっかくだか

ら、と、レポートに真剣に取り組んだ。グラハムのほうは、それがないと、有給申請して

まで出向いてきた結果が出ないから、と、さらに真剣だ。
「こういう出会いがあるとわかっていたら余分に、申請しておくべきだった。」
 修了書を手にしたら、その足でユニオンへ帰る予定だと、グラハムは残念そうに言う。

元々の目的は、新システムの習得だったわけだから、それ以外のことは考えていなかった

のだ。予定を変更しようとしたが、すでに、その後のスケジュールは押さえられていて、

身動きが取れない状態だってらしい。
「明日で終わりだ。」
 研究施設へレポートを提出したら、修了書は即座に発行される。レポートについての審

査というものはない。規定枚数に達していれば、それでオッケーだ。どうにか、ふたりと
作品名:ぐらにる 流れ4 作家名:篠義