【かいねこ】桜の季節に共に笑おう
帰宅したマスターには、前のマスターを近所で見かけたとだけ伝えて、後は誤魔化してしまう。
けれど、何か感づいたのか、マスターは俺に「分かった。大丈夫だから」とだけ言って、後はにやにやしながら、こっちの様子を伺っていた。
「マスター、何笑ってんですか。気持ち悪い」
いろはさんが聞いても、マスターはにやにやしながら、「いやいや、別に」とだけ言う。
気まずいというか、居心地が悪いというか。
これだったら、はっきり言った方がマシだったかも。
「何ですか、気持ち悪い。言いたいことがあるなら、はっきり言ってください」
「いやいや。春ですなあ。いいですなあ」
くそっ、マスターじゃなかったら、ぶん殴ってるのに。
恥ずかしさに耐えきれず、さっさと風呂に逃げ込んだ。
作品名:【かいねこ】桜の季節に共に笑おう 作家名:シャオ