二次創作小説やBL小説が読める!投稿できる!二次小説投稿コミュニティ!

オリジナル小説 https://novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
二次創作小説投稿サイト「2.novelist.jp」

【かいねこ】桜の季節に共に笑おう

INDEX|3ページ/14ページ|

次のページ前のページ
 

引き取られた時は、すでにいろはさんがいた。
俺の入り込む余地などないくらい、仲のいい二人が羨ましくて、妬ましい。

俺は、あんな風に笑えない。



マスターが仕事に行っている間、俺はいろはさんと留守番だ。

「カイトさーん、お茶淹れますねー」
「俺はいいよ」
「ついでですからー」

キッチンから、かちゃかちゃと食器の触れ合う音がする。
手伝おうかと、立ち上がりかけた時、ふと部屋の中が暗くなった。
窓の外に目を向けると、ぱらぱらと雨が降り出し、あっという間に窓ガラスを濡らしていく。
マスターは傘を持っていっただろうかと、ぼんやり考えていたら、視界をカーテンで塞がれた。

「あ、ごめん。気がつかなくて」
「い、いえ、あたしのほうこそ、いきなりすいません」

いろはさんは、カーテンを全部閉めた後、あたふたとキッチンに戻っていく。
締め切られた部屋の中、電灯のスイッチを入れながら、どうしてあれほど雨を嫌うのだろうと、考えた。

いろはさんは、雨を嫌う。
雨の日は外に出たがらないし、テレビを見ていても、雨の映像を嫌がった。
最初は水が嫌なのかと思ったけれど、洗い物や入浴を避ける様子はない。とにかく「雨」が嫌いなのだ。

「おー待ーたーせーしーまーしーたー」

お盆を持って、いろはさんがやってくる。

「ありがとう」
「いいえー。あ、熱いから気をつけてください」

湯気を立てる湯呑みを眺めながら、

「いろはさんは、何で雨が嫌いなの?」
「え?」
「あ、何か答えたくないことだったら、無理には」
「いえ、マスターから聞いるかと思ってたんで。あたし、雨の日に捨てられたんです」
「ああ・・・・・・ええ!?」

さらっと言われて、一瞬聞き流しそうになったけれど、驚いて、いろはさんの顔を見た。