【かいねこ】桜の季節に共に笑おう
容赦なく打ちつける雨の中、駆け足で家路を急いでいたら、
「カイトさん!」
「!?い、いろはさん?」
傘を手に、真っ青な顔をしたいろはさんが目の前に立っていた。
「あ、あの、傘っ、持ってきました」
「そんな、いいのに!大丈夫?」
傘を受け取りながら聞くと、彼女は震えながら頷く。
「だ、大丈夫です。あの、か、カイトさんが、濡れちゃうと、いけないから」
「俺のことより・・・・・・とにかく、帰ろう」
「はい」
髪を伝う滴を払い、いろはさんを促して、帰り道を急いだ。
「ただーいまー。はー、帰ってきたら安心しました」
玄関を入ると、いろはさんはにっこり笑う。
「そう、大丈夫?」
「ええ、もう平気です!ご心配おかけしました!!あ、先にシャワーどうぞ」
「え?ああ、うん」
「これ、片づけておきますから」
いろはさんは、買い物袋を手にキッチンに向かう。
俺は、お言葉に甘えて、先にシャワーを浴びることにした。
作品名:【かいねこ】桜の季節に共に笑おう 作家名:シャオ