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野沢 菜葉
野沢 菜葉
novelistID. 23587
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きらきら星 【後偏】

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今日も、栄口は時々ふと辛そうな表情をする。
今日の帰りは久しぶりに一緒に帰るので、その時にさりげなく聞いてみようか。
前みたいに何か言ってくれないかな。
俺は前の様な、あの心からの笑顔がみたいんだ。もしそれが、自分がそうさせたものであったらもっと嬉しい。


練習も終わって、みんなで部室に向かっている途中、栄口が見当たらないことに気がついた。
気になって戻ってみると、栄口と阿部が話しているのが見えた。
何か打ち合わせでもしているのだろうか…それにしては栄口からは不安そうな表情が見える。

その光景をみて、なぜか胸の奥がモヤモヤした。
(俺には無理して笑顔作ってんのに、なんで阿部にはそんな表情すんだよ。)
こんな自分も嫌になって、俺はその場を離れた。

そうしたら、戻ってきて着替えを始めた栄口は本当の笑顔を作っていて、
なんだか嬉しそうにしている。
(それって阿部のおかげ…?)

阿部と栄口は同じ中学で、中学では面識ないといっても、春休みはずっと2人で練習に来ていた。
だからかな、阿部と栄口の仲って前からみんなと違う雰囲気があった。
以前、栄口の母親の話になりそうだった時、俺は栄口を外に連れ出す方法をとったけど、
阿部は俺らがいなくなった後、みんなに事情を説明していたようだ。
そのあと教室に戻ると阿部から
「ありがとな。」
と一言お礼を言われた。

実はそれが無償に気に入らなかったのを覚えている。
俺は俺なりに栄口のこと思って、栄口のために行動していたつもりだったから、
阿部にお礼を言われる理由はない。
栄口のこと俺より知ってるって言われてる気がして…
友達のことで嫉妬して何なんだって感じだけど、嫌なものは嫌なんだ。


俺は栄口にさりげなく話しかけた。
「さかえぐち~何にこにこしてるの?」
そう言うと、驚いてこちらを見た。

「えっ別に何もないよ。」
俺には言いたくないって言われている気がして、胸がチクッとした。
「うそ。だってさっきは暗い顔してたもん。」
気づいてるんだから…だから俺に頼ってよ。

「気づいてないと思ってた?栄口最近ずっと暗いよ。また辛そうな笑顔してる。」
「そんなことないよ。ちょっと最近寝つきが悪いせいかなぁ。」
あくまで何もないようにする栄口に本当に腹がたってきた。
何で阿部には話すのに、俺には話してくれないの??

俺はムキになって、それからも聞き出そうと必死になってしまった。
気付いたときには、栄口は俯いて口をぎゅっと閉じていて、
そこまで責めるつもりはなかったため、慌てて栄口に手を伸ばす…


パシンという音が空を切る

行き場をなくした俺の手はダラリと垂れた。
何が起きた…?

「…余計なお世話なんだよ。これ以上オレに構わないで!!」
栄口の声が響く。

俺は栄口が部室を出てしばらくするまで、その場を動くことが出来なかった。