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野沢 菜葉
野沢 菜葉
novelistID. 23587
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きらきら星 【後偏】

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5

「具合どう?」
「もう大丈夫だって!その質問何回目だよ!!」
「だって~!本当にびっくりしたんだもん。」

いつもの帰り道、2人で自転車を押しながら歩いて帰る。
まだ危ないからって、俺が途中まで栄口を送ることにした。

ずっと何気ない会話をしていたけど、俺ちゃんと謝らなきゃだ。
俺は自転車を止めると栄口に近づいた。
「ごめん!!」
そういうと、栄口は驚いた顔をしていた。俺はそのまま言葉を続ける。

「俺、栄口のこと何も考えないで追いつめちゃって…
俺、なんか栄口に頼られたいって、1番になりたいって思ってて…
だけどそうなれない自分が悔しくって…栄口にあたっちゃった。ごめんね。」

俺の言葉を聞いて、しばらく栄口は考えてから口を開いた。
「…水谷は1番になりたいの?1番って何??」
「わっかんないけど。でも、栄口が寂しい時とか苦しい時とか、
一緒にいたいって思ってくれるような…栄口の1番近くにいる存在?」
これが俺の正直な気持ち。今はまだよくわからないけど、この表現が一番しっくりくる気がするから。

だけど、栄口はちょっと不機嫌そうになって、また嫌な思いさせたかなとか慌てていたら、
「水谷!安心していいよ。」
「えっ?」





「ちゃんと水谷はオレの1番だから!」
と言って、すごく良い笑顔をしてくれた。

(うわぁ…)
なんだか頬が熱い…ドキドキする。もっと見ていたいその笑顔。
今まで見たどんな笑顔より…



愛しい君の笑顔。















俺はある変化に気づき始めていた…。
いや、もしかしたら最初からそうだったのに勘違いしていただけなのかもしれない…。

栄口と仲直りしてから、また寄り道して帰ることが多くなった。
恋人と友人では、それぞれ違う楽しさがあるっていうけど、
今の俺には圧倒的に栄口と一緒にいる方が楽しい。
それに…

「水谷、お前ココアだっけ?」
「うん、そうそう。」
「はいよ。」
にこっと笑って飲み物を渡してくれる。
その笑顔になんだかドキドキするんだ。

ぼーっとしてると、いきなり冷たいものが額に当たった。
「ひやっ!」
「おーい。大丈夫かぁ。」
それは栄口の手だったらしく、それを意識するとどんどんと体温が上がっていく気がした。

(最近の俺どうしちゃったんだろう。)
前みたいに友達としてみれない…


…じゃあ友達でなければ何なんだ??