きらきら星 【後偏】
6
今日はお昼をえりちゃんと食べる約束をしていたので、屋上へとやってきた。
えりちゃんと話すのは楽しい。けれど、ほかの女の子と話すのと一緒なような気がする。
そりゃあ、ちゃんと気になってたし、好きだなっとも思う。
デートだって行ったし、メールや電話もしてる。
でも…だけど…
『ふみきくんの彼女の定義って何?』
ご飯を食べながら、いきなりそんな哲学的な質問をされた。
頭にはてなマークを出していると、えりちゃんは話を続けた。
『えっと、女友達と彼女の境界線みたいな…。』
えりちゃんは少し寂しげに言った。
俺はしばらくうーんと悩んでから答えた。
「境界線かぁ。特別って思う所じゃない?」
『…特別?』
「うん、こうやってお昼一緒に食べるとか、出かけるとか。友達でもできるけど気持ちは違うでしょ?
友達だったらこんなに一緒にいないもん。そういう俺の生活に無条件で入ってもいいよっていう特別な存在のことかな。」
そう言うと、えりちゃんは呆気にとられている感じだった。
欲しい答えと違ったのだろうか。
『…そっか。ふみきくんにとってはそうなんだね。』
今日のえりちゃんを理解することは、俺には難しそうだった。
「…特別か。」
自分で言っておいて、なんとも曖昧な回答をしたなぁと後で考える。
そんなこと言ったら、俺にはもう1人出てきてしまう。
俺の生活に無条件に入ってくれて構わないし、出来ればあっちの生活にも入りたい。
(友達でもできるけど気持ちは違うでしょ?)
1組にわざわざ行くのも、一緒に寄り道するのも…俺にとっては?
俺にとっては君が関わること1つ1つが特別だ。
作品名:きらきら星 【後偏】 作家名:野沢 菜葉