Good-by,hello
ほらね、やっぱり。
心の中で呟いた。結局何も言わずにいなくなった幼なじみは、学校すらもやめていた。
「探すよ」
探して、見つけだすよ。あんまり僕を過小評価しないで欲しい。確かに僕は何も出来ないけれど、それでも足掻くことはできる。
だから。
「待っててね、正臣」
*
帝人。怒ってるだろうなぁ……。多分、気づいてた。気づいてたけど、何も言わなかった。俺を迷わすことはしたくなかっただろうし、何を言っても無駄だと気づいていたんだろう。
多少のブランクはあっても、ずっとずっと一緒にいたんだ。――わからないはずがない。
本当は、離れたくなんかない。あるわけがない。だって俺はこんなにも、……こんなにも――。
ぐっと掌を握り締めた。こんなことを考えている暇はない。清算しなければ。過去から逃げられないというのならば、清算しなければいけない。
カラーギャング、‘黄巾賊’の証を首に携え足を踏み出した。
例えこれが自殺行為だとしても俺は、この道を選ぶ。もう逃げないのだと、口元だけで笑みをつくった。前を向き、立ち向かう。
目の前には、―――――。
*
「俺が、教えてあげようか」
端正な顔を歪めてにやりと笑う彼。
「何がお望みですか?」
帝人は目を伏せ微笑んだ。
「んー、そうだねぇ……君達の再会を見せてくれればそれでいいよ。もちろん貸しもつくらない」
「人間観察をしたいと」
「そうだね」
帝人は凜とした態度と声音で了承する。その間お互いの表情は、感情が読めない微笑であった。いや、そんな綺麗なものではない。けれど表面状はそう表すことに相応しい笑みだった。
彼は、帝人に再び興味を持つと同時に、何か底知れぬ恐怖を感じ取った。
そんな自分を鼻で笑い、思考する。
「(本当に面白い子だ……俺にも予想がつかないよ)」
くすりと笑みを零し、それを始まりとして楽しそうにくつくつと笑い出した。此処は外で、怪しいことこの上無かったが幸い人気がない道であったため、そんな彼を誰も見ていなかった。
作品名:Good-by,hello 作家名:普(あまね)