Good-by,hello
あの後俺は病院に運ばれた。一応頭を殴られたということで精密検査を受けることになり、一日だけ入院ということになったのだ。結果は問題なしということで、けれど暫くは激しい運動をしないように注意された。
今回のことで帝人とちゃんと話し合わなければ行けないと思う。それに俺も言いたいことがある。
帝人の住む部屋の扉を叩く。――返事がない。まさか、まさか、まさか!
扉を蹴破ろうとした時、物音が聞こえた。後ろに勢い良く振り向くとそこには、
黒バイクがいた。
*
話を聞いてみると、どうやら帝人は彼女に伝言を残していたらしい。朝、此処に正臣が来たら伝えてください、と。
その残された伝言は、【僕を探しに来て、バカ臣】だった。どういうことかと首を傾げる。それに気づいた黒バイクがPDAにこう打った。
【池袋西口公園にいる人物に聞けばわかる】
*
公園に着き辺りを見回すと、ベンチの上に腰掛けている平和島静雄がいた。他には誰もいない。つまり黒バイクは、平和島に聞けばわかると言ったことになる。……正直関わりたくないというのが本音だが、帝人が探しに来てというのだから仕方がない。帝人が俺を見つけだしたように、俺だって帝人を見つけだしたいのだ。
「平和島静雄さんですよね」
近づいて声をかけると彼が顔を上げた。
「ああ。…お前は?」
「紀田正臣です。その、平和島さんが竜ヶ峰帝人の居場所を知っていると聞いて…」
「お前が紀田正臣か。露西亜寿司に行けばわかる」
「ありがとうございます!」
「…頑張れよ」
俺が頭を下げると、頭をぽん、と撫でられる。驚いて顔を上げると見たこともない優しい微笑みを浮かべていた。
「はいっ」
俺は露西亜寿司に向けて走り出す。
「(あんな笑い方…出来る人だったのか…)」
*
「サイモン!帝人の居場所知ってるか!?」
「オー、紀田。伝言預カッテルヨー」
「教えてくれ!」
「来良ノ正門前ラシイヨー」
「サンキュー!!」
「今度二人デ此処来ルネー」
「ああ、もちろん!」
この調子だと結構時間がかかるはずだ。急がないと、暗くなってしまう。
作品名:Good-by,hello 作家名:普(あまね)