Good-by,hello
池袋駅前。見慣れた顔を探す。日が落ちてくる今の時間、人は多い。けれど俺が帝人を見つけられないはすがないのだ、絶対に。
―――――いた。
柱に身体を預けて、携帯を見ている。
「帝人、みーつけたっ」
俺はにっこり笑って声を掛けた。服は帝人らしくない服だったけど、それでもわかった。
くるりと帝人が振り返る。手を伸ばしてぎゅっと抱きしめた。
「ま、正臣…!?」
驚いたような声にすぐ話して、へらりと笑う。
「わりっ、つい……つーか帝人、なんでこんなことしたんだよ?」
「ついじゃないよ……。ああ、その話はまた後でね。今日泊まっていかない?」
「いいのか?」
「いいよ。材料買って行こうか」
帝人の言葉に俺は頷いた。
――こんなに帝人が隣にいることが、嬉しいなんて。
にやけそうになる顔を引き締めて、帝人と一緒に歩きだした。
*
「今日こんなことをしたのは…実は特にそんな理由はないんだよね」
「おぉい!?」
「ただ、正臣のことすっごい心配したからその気持ちを理解して貰おうと…」
「帝人……」
帝人は顔を俯かせて、心配そうに俺の顔を覗き込んだ。
「正臣は、僕のこと心配した?」
「当たり前だろ」
そっと帝人の頭に手を置いて一度だけ撫でる。くしゃりと自分の顔が歪むのがわかった。
「帝人が隣にいないのがどれだけ辛いかも痛感した。だから、……もういなくならないし、帝人もいなくなるなよ」
俺がそう言って不格好に笑うと、帝人が抱き着いてきた。
「うおっ!?」
「正臣のバカ…!バカ臣っ」
「ごめんな、帝人」
頭をぽんぽんと撫でる。
「なぁ、帝人。話したいことがあるんだけど聞いてくれるか?」
「…何?」
過去を清算する時に決めたことはこれだ。帝人に俺の気持ちを伝える。その後のことが怖いけれど、隠し続ける自信がないのだ。
息を吸い込む。柄になく不安に思っている自分に驚いた。
「帝人のことが好きだ」
作品名:Good-by,hello 作家名:普(あまね)