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国城 龍耶
国城 龍耶
novelistID. 24182
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東方無風伝 3

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 妖夢の振るう竹刀を、寸でのところで屈んで避ける。
 朝、何時も通りに妖夢との竹刀による稽古を行っていた。
 屈んだ体勢から右足を前に踏み出し、低い位置から竹刀を振るう。
 上体を反らし避けたと言うのを視認して、更にもう一歩踏み出し左手に持ち変えた竹刀を横殴りに振るった。
 竹刀を構え、触れたと同時に受け流される。
 そうして生まれた隙。
 妖夢は竹刀を振りかぶり、縦に振るおうとする。
 左手で受け流された竹刀で防ぐのは出来ない。
 だからと言って、一度退いて体勢を直す隙を与えるのは芳しくない。
 もう更に、足を踏み出す。

「みょっ!」

 身体が触れ合うような、余りにも近すぎる数センチメートルと言う距離までの接近。
 こうまで近いと竹刀を振ることは出来ない。
 無論、俺とて例外では無く、攻撃することは出来ない。
 妖夢はバックステップで距離を取る。それに合わせるように接近する。
 離れても近付いてくる。攻撃しても、尚近付く。
 今回の俺は、方針を決めてみた。
 それが、徹底的な攻めに回ること。
 竹刀を持つ右腕を引いて、打ち出す。
 その突きは妖夢の頬を掠める。

「のぉ!」

 妖夢が繰り出した突き。
 半身になりそれを避けるが、足が縺れ身体が倒れる。
 仰向けに倒れたが為に、妖夢の次の行動が視認出来る。
 あぁ、仰向けに倒れたからこんな絶景が。今日の下着は白か。シンプルなのもまた良し。
 等と妄言を吐く暇無く、頭に向かい落とされる竹刀を首を曲げて避ける。
 両手を頭の横に着け、勢いをつけたハンドスプリングで立ち上がる。
 だがこの位置関係。
 今俺は妖夢に背を向けている状況になる。
 前に飛び込み前転をして、妖夢と距離を取りつつ、足が地面に触れた同時に振り替える。

「ぬぁ!」

 妖夢は直ぐ其処まで迫っていた。
 妖夢が持つ竹刀は居合いの様に振られ、俺の右手首に当たる。
 右手が竹刀の勢いに押され大きく左に動き、手から竹刀が離れる。
 次の瞬間には、首筋に冷たい風を感じる。
 極数センチメートルのところに、竹刀が有るのだ。

「……降参だ」

 両手を上げ、己の敗北を宣言した。
作品名:東方無風伝 3 作家名:国城 龍耶