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国城 龍耶
国城 龍耶
novelistID. 24182
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東方無風伝 3

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「でえい!」

 突如として現れた断裂した空間。その空間から光弾が飛び出してきたのだ。それを突然のそれを上体を反らすことでなんとか回避した。
 あの光弾には見覚えがある。霊夢達が弾幕ごっこと称し、撃ち合っていたものだ。
 空間は一つの弾幕を放てば、それで自分の仕事は終わったと言わんばかりに閉じていく。

「……其処か!」

 ぴりっと来る視線を背後から感じ、振り向けば其処には案の定、断裂した空間が現れていた。
 再び射出される弾丸。それは正確に俺を狙ってきている為、避けるのは容易い。弾幕ごっこは必ず相手が避けられるように、弾幕は理不尽な速度で飛び交うことは無い。だから、どんな弾幕だろうが避けようと思えば避けられるはずだ。『ごっこ』ならば。
 再び閉じ、三度開かれる異空間。だが、今までとは違い今度は複数の異空間が現れる。

「チッ」

 舌打ちを一つ。
 それぞれの異空間からほぼ同時に現れた弾幕は、決して俺を狙うわけでもなく、だからと言って、動かなければ当たらないと言うわけでもなく。
 横に大きく跳んで弾幕を避ける。弾幕は地面にぶつかり爆(は)ぜる。
 弾幕はあくまでも遊びに用いるためのものか、大した威力は無いようで土埃を上げる程度に収まった。
 だからと言って、被弾しても良いと言うことでは無くて。
 この異空間が俺に向かい弾幕を放つと言う現象は、自然現象なんかではなくて、きっと何者かが意思を持って攻撃していると思っていいだろう。

「いよっと」

 飛んできた弾幕を後ろに跳んで避ける。着地した次の瞬間には、また眼の前に弾幕が。それを半身で避ける。
 ――――弄(もてあそ)ばれている。
 それは直感にしか過ぎない感覚だが、自信を持ってそう言えるものがあった。
 飛んでくる弾幕を避ければ、その避けた先に弾幕が現れ、それを避ければまた弾幕が。それが繰り返されているのだ。何も無数の弾幕が飛び交っていると言うわけではない。必要最低限の弾幕で最大限の効果を発揮しているのだ。
 なんと嫌らしい遊び方だ。

「くっ!」

 容赦なく、そして絶え間なく放たれる計算された無限の弾幕。
 なんとか、この遊びを終わらせる方法は無いものか!
作品名:東方無風伝 3 作家名:国城 龍耶