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国城 龍耶
国城 龍耶
novelistID. 24182
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東方無風伝 3

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「見えてきましたね。あれが白玉楼です」

「おお、あれが」

 妖夢がそう言って指差す先に、その白玉楼が在った。

「また随分と広いんだな」

 まだ白玉楼まではまだ百メートル程は有ると言うのに、白玉楼を囲む塀は高く長く広いのが解る。
 ざっと……三百メートルでも足りなさそうだ。

「あれ全部白玉楼か」

「はい。あれだけ広いと、庭師としてもとても大変で」

 はにかみながら言う妖夢だが、その言葉には嘘は含まれていないようで。

「まさか、妖夢一人で」

「はい。白玉楼には、基本私と主である幽々子様しかいませんから」

 ほう、と短い感嘆の声が漏れ出る。
 妖夢が主と呼ぶのなら、その人物こそがこの白玉楼の主でもあると言うことなのだろう。

「妖夢、良ければその幽々子様とやらのことを教えてもらってもいいかな?」

「え? 良いですけど、なんで」

「白玉楼の主なのだろう、その人は。ならば、無礼がないようにその人のことを知っておきたくてな」

「なら、問題はありませんよ。幽々子様はそんなの気にしませんから」

「そうか。なら、気楽に行かせてもらおうかな」

「はい、歓迎しますよ」

 純朴な笑顔で言う妖夢。
 これならきっと、何も気にかけることも無く、白玉楼で修業が出来るだろう。噂が本当ならば。

「とーちゃくっと」

 妖夢と雑談を交わしている間に、漸く白玉楼の大きな門の前に到着する。
 不用心にも開かれた門の前に立ち、噂の白玉楼を覗き込む。
 先ず目の前に聳え立つのが本殿と思われる屋敷。次に映るものは無い。つまり、それほどまでにその屋敷が大きいのだ。

「こちらにどうぞ」

 妖夢が戸を開け、その中に案内される。

「しかし、こんなにまで大きいと気圧(けお)されるな。なんだか落ち着かない」

「慣れですよ、そんなの。風間さんは此方に修業をなさりに来たのでしょう。それなら、嫌でも慣れますよ」

 あー、それもそうか、と半ば開き直っての返事をする。
 これからはこの白玉楼で剣術の修業をするのか……それで俺は強くなることは出来るか、はたまた何の力も付けられないか。
 それは、この先の未来でしか知り得ないこと。
 さて、それを知る為にその未来へと歩もうとするかね。
作品名:東方無風伝 3 作家名:国城 龍耶