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国城 龍耶
国城 龍耶
novelistID. 24182
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東方無風伝 3

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「おや」

 例の彼女の元に、一人の少女が近づいて行くのが見える。妖夢だ。
 彼女は妖夢に話しかけられ、二言三言話すと、再びこちらへと顔を向ける。
 妖夢が再び声を掛ければ、彼女は妖夢と共に歩き出す。その姿は、やがて桜に埋もれて消えてしまった。
 ……今のが、妖夢が言っていた『幽々子様』なのだろうか。
 見るモノも無くなり、再び暇を持て余すようになり、ぼんやりとしていればふと気配を感じた。
 廊下を歩き、部屋へと近づく者がいる。

「こんにちは」

「ええ、こんにちは」

 来訪者に挨拶をする。その来訪者は先の女性だった。
 少し不健康に見える肌色より白色に近い肌に、少し薄い桃色の髪。こうして近くで見ると、何処かのんびりとした雰囲気が漂っている。

「魔理沙と妖夢の二人から聞いたわよ。あなたが、この妖夢に弟子入りしたいと言っていた人間ね」

「風間と言う。知っているなら話は早い。そう頼めないだろうか」

「幽々子よ。西行寺幽々子。まぁ、好きにしたら良いんじゃない。どうせ暇なんだし」

「では、そうさせてもらおうかな。以後よろしく」

「ええ、よろしく」

 妖夢の言っていた通りに、礼儀だとかは気にしなさそうな者で本当に良かった。堅苦しいのは嫌いだからな。

「じゃあ、後は妖夢に任せるわ。何か有ったら妖夢に言えば、全部やってくれるから」

 そう言い残して西行寺は去る。どうやら挨拶をしに来ただけのようで。

「……魔理沙はちゃんと来ていたのか」

 どうやら魔理沙は小町に託した伝言通りに話はつけておいてくれたようだ。
 あいつも優しいなぁ。あんな事を言ってしまったと言うのに、本当は伝言なんて嘘っぱちで見捨てられたと思っていたよ。
 ……魔理沙は、そんなことをしないか。自分で言っておいて前言撤回。
 魔理沙は面倒見が良く、責任感のある奴だ。困っている他人がいれば、助けるだろう。
 魔理沙は俺と同じく、人間が好きだから、絶対に。

「お、風間じゃないか。もう来てたのか」

「……やぁ魔理沙。お陰様でな」

 ひょっこり現れた黒い魔法遣い、霧雨魔理沙。
 まさかこんな短期間でまた会うとは思っていなかったよ。
作品名:東方無風伝 3 作家名:国城 龍耶