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国城 龍耶
国城 龍耶
novelistID. 24182
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東方無風伝 3

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「なんだその亡霊にでも会ったような顔。そんなに私が此処にいるのが意外だったか?」

「ああ、意外だった」

「なんだ、私が風間を捨てて行ったとでも思っていたのか?」

「ああ、まぁ、あんなことを言ってしまったからな」

 申し訳なさそうに言えば、魔理沙は腹を抱えて笑いだした。

「あはは、風間はあんなことで、私に嫌われたとでも思っていたのか」

「事実、置いて行かれたからな。そう思うのが自然だと思うが」

「それは、酔い潰れた風間に非が有るぜ。何時眼が覚めるかなんて解らない。そんな長い時間、あんなところに居るのは退屈ってもんだぜ」

 ……全ては俺の考え過ぎだったようで。
 俺が言ったあの言葉を、魔理沙はそれ程気にしていなかったようで、俺を置いて行ったのは待つのが面倒だっただけとは。
 それでも、俺は魔理沙に酷いことを言ってしまったのは変わらなくて。

「魔理沙、君が気にしていなくても、俺は謝る。すまなかった」

「別に良いぜそんなの。風間の言ったことは、間違ってはいないと思うぜ。風間に言われて、私も考えてみたんだ」

 なにを、とは無粋なことは言わない。もう俺も彼女も解りきっているから。その結論も。

「困ってる人間を全て助けるなんて不可能だ。だから、せめては手の届く人間は助けるぜ。そうじゃないと……」

「そうじゃないと?」

「私は、風間を助けた意味が無い」

「正解」

 それは魔理沙だからこその、正解だ。
 これに答えなんて無い。だから、自分で考えて、自分の答えを見つけないと意味が無いのだ。魔理沙は自分の答えを見つけ出した。だから、それがどんな理不尽な理由だろうと何だろうと、それは正解なのだ。

「風間の答えは、一体なんだ?」

「言ったろ、人間が何時何処で誰がどうして死のうが、どうでも良いと」

「それだけじゃ、ないだろ。風間はそんな人間じゃない」

 生憎と、俺は人間ではない。と言うのは通じないだろう。

「どうでも良いからこそ、少しは関心を持つようにしないといけないだろ? だから、俺は困ってる奴がいたら助けるよ。少しは人間を理解出来るように」

「……やっぱりお前人間じゃないだろ。その正体は一体何だ?」

「耳を貸せ、魔理沙」

 そう言うと、魔理沙は片耳を俺に向け、近づけてくる。

「ふっ」

「うひゃあ!」

 耳の中に息を吹き込めば、魔理沙は可愛らしい悲鳴を上げて一瞬で俺から距離を取る。
作品名:東方無風伝 3 作家名:国城 龍耶