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国城 龍耶
国城 龍耶
novelistID. 24182
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東方無風伝 4

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「ただ今戻りましたー」

「おや」

 白玉楼に響く妖夢の声。どうやら人里の買い物から帰ってきたようだ。

「お帰り、妖夢」

「はい、ただ今戻りました」

 妖夢を出迎えて挨拶を交わす。
 膨らんだ手提げ袋を両手でしっかり支える妖夢。

「どれ、俺が台所まで持っていこう」

 妖夢から取り上げるような形で、重い手提げ袋を持つ。
 ずっしりとした感触。やっぱり、とても重い。だがそれは格好つけた手前、気合いで片手で持つ。

「思ってたより元気そうね、風間」

「お?」

 振り返り見れば、妖夢の背後から二人の少女が現れる。
 一人は、紅白の巫女服に身を包んだ少女。
 一人は、黒白の魔法遣いの服に身を包んだ少女。

「久方振りだな、霊夢」

「久し振りね」

「久し振りだぜ」

「魔理沙とは二日前に会ったばかりだな」

 魔理沙は、あの薬の一件からもちょくちょくこの白玉楼に遊び来ていた。その度に修業の邪魔をしてきて迷惑だったが……。
 霊夢と会うのは実に二、三週間振りだったか。あの神社で会った時以来だから、大体それぐらいか。

「今は此処に居候していたの」

「ああ。剣の修業の為にな」

「そう」

 霊夢は興味が無いようで、それでも彼女の瞳は俺を睨みつけるように鋭かった。

「それなら、あんたに貸した金、必要無いわよね。今すぐ返しなさい」

 あ、それが目的でしたか。等とは口に到底出せない。

「いや霊夢。俺は何(いず)れこの白玉楼を出るだろう。そうなれば、この金は必要になる」

「それはどうせ先の話でしょ。私の明日と、風間の何時か。どちらが大切かは明白でしょ」

 胸倉を掴み、半ば、いや八割方恐喝混じりで言う霊夢。

「助けて妖夢―、魔理沙―。渇上げされてるー」

 そう助けを請うが、妖夢はほんわかと微笑んで見ているだけ。魔理沙は何時ものにやついた笑顔を浮かべて見ているだけ。
 魔理沙は何時もの様子だからいいとして、妖夢まで!

「かーねー」

「た、助けてくれ!」

 次第に霊夢は亡霊のような虚ろな目つきとなり、まるで『金』と言う言葉しか知らないのようにその言葉を繰り返す。

「妖夢! このままだと食材が!」

 俺が持つ手提げ袋。これが落ちれば、少なからず食材は『駄目』になるものがあるだろう。
 その言葉にはっとしたように、妖夢は急いで霊夢の解放に走った。
 因みに、魔理沙はその間もにやついて見ていただけだった。
作品名:東方無風伝 4 作家名:国城 龍耶