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国城 龍耶
国城 龍耶
novelistID. 24182
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東方無風伝 4

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「かーねー!」

「どうどうどう」

 妖夢に羽交い絞めにされてなお、そう叫ぶ霊夢。
 何と言うお金への執着心……。流石は霊夢と言うべきか、恐るべき。その執着心はどこからか恐怖心を運び出し、冷や汗を背中が伝う。

「落ち着け霊夢。そのうち利息を付けて返そう。それなら、今返されるよりも得と言うものだろう」

「本当!?」

「……ワタシ、ウソ、イワナイ」

 霊夢を落ち着かせる為に、ついそんなことを言ってしまった。
 その霊夢は、まるで犬が尻尾を振る様な、そんな嬉しさを滲みだしている。いや、滲むと言うか、開放していると言った方が良いくらいだ。

「絶対よ! 利息は十一よ、良いわね!」

「いやそれ高い」

 お金に喚く霊夢に、それを抑えようとする妖夢。それを見て笑う魔理沙
 そこに平和を感じずに何とする。

「なに笑ってんのよ」

「いや、何も」

 顔に出してしまっていたようで、それを霊夢が不機嫌そうに指摘する。どうしても利息を高く設定したいようだが、それをさせるわけにはいかない。
 『あくまで』、二人が納得する金利にさせた。霊夢は不服そうだが。

「しかし、妖夢が助けを無視するなんて、珍しいことがあるもんだな」 魔理沙が妖夢に言う。
 それは俺も気になっていたことだ。あの真面目な妖夢が困っている人間を見捨てるとは到底思えない。だが、それは現実にあった出来事。

「何時ものことですから」

 ……その言葉だけで納得する自分がいた。
 魔理沙もなんだか納得した表情だった。

「慣れとは怖いものだな」

「全くだぜ」

 二人して、肩を竦め笑う。

「そんなことより!」

 霊夢が突然叫ぶように言う。

「どうして此処は暖かいのよ!」

「春だからだろ?」

「春だからだぜ」

「春ですから」

「なんでよ!」

「だって、なぁ」

 春。霊夢は白玉楼が春であることを疑問に思っているのだ。
 まぁそれは尤も疑問だ。俺だって初めはそう思ったのだから。

「あんたら、また春を奪ったの」

 お札を構え、妖夢に向けて言う霊夢。
 その眼には強い敵意が込められている。
作品名:東方無風伝 4 作家名:国城 龍耶