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国城 龍耶
国城 龍耶
novelistID. 24182
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東方無風伝 4

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「彼は何処からどう見ても、人間よ。貴方達妖獣のように獣の特徴があるわけでもない。だからと言って、妖怪の気配は無い。ならば人間ではなくて?」

「いや、西行寺殿。私だってそれは解っています。ただ、彼は何処か人間のようで人間ではない。人間に近い存在で別の存在なような気がするのです」

「それは、彼が外来人だからでしょう。最近の外の世界の人間は、幻想郷の人間とは違う。そう言う違和感があってもおかしくないわ」

「外来人は、紫様の仕業か私は知りませんが、最近その数を異常と言う程に増しています。幻想郷で生きていれば、彼らと接する機会は多いです。西行寺殿とて、例外ではないでしょう。風間殿は、私が出会ってきた外来人とも、確かな違いがあります」

「どんな違いがあると思って?」

「それは……」

「西行寺、いい加減にしろ。これは俺の話だ。西行寺が口出しすることではない」

「黙ってなさい」

 西行寺と眼が合う。その眼に睨まれた途端、本能が恐怖を感じ、身体が竦み上がった。
 一瞬。ほんの一瞬のことだった。

「彼は、人間だけど、それを客観的に見て、自分を人間だと思っていない。自分を『人外だと思い込んでいる人間』のように、私は感じます」

「それは違うわ。彼は自分が人間だと認めているわ」

「しかし、彼の言動にはどうにも既視感があるのです。それこそ、紫様のような」

 俺とあいつが似ている、ねぇ。そんなこと有ってたまるか。

「気のせいよ」

「いえ、違います」

「彼は、人間のくせに悟った様な口ぶりなだけ。彼は未熟児なのよ。完成と始まり。それは極端にあり、どちらも同じこと。だから、貴方に既視感があるだけ」

「……」

 完成が八雲紫を現し、そして始まりは俺を現しているのだろう、西行寺は。俺も安く評価されたものだ、と思うが、それは言い得ているとも思う。
 人間になって、まだほんの数週間。俺の人生は始まったばかりなのだから。

「帰ったら紫に伝えなさい。私の玩具(おもちゃ)は、貸すことはあってもあげたりはしない、と」

「何時からそれが貴方のモノになったのかしら?」

 妖艶で、甘美で、恐怖で、生で、死で象られた声が響いた。
作品名:東方無風伝 4 作家名:国城 龍耶