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国城 龍耶
国城 龍耶
novelistID. 24182
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東方無風伝 4

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「御早う、妖夢」

「御早う御座います」

 八雲紫の強襲に合った翌朝。
 何時もならば妖夢との稽古が行われる時間帯だが、その妖夢の様子が何時もと少しばか
り違うのに気付く。
 妖夢が庭掃除をしていない。
 大抵は俺が声を掛けるまでは庭掃除をしている妖夢だが、今日は違った。箒を持っておらず、それならば稽古の為に竹刀を、と言う訳でも無い。
 庭を見渡せば、木の葉も桜の花弁も落ちてないから、既に庭掃除は済ませたようだが。

「申し訳有りませんが、今日の稽古は……」

「ん、無いのか?」

「はい……」

 歯切れの悪い妖夢の言葉の意図を汲み取った言葉に、肯定の返事。
 その言葉通りに、妖夢は申し訳無さそうな言う顔をしている。

「少し、これから人里による用が有りまして」

「ああ、仕方が無いことだ。俺は適当に素振りでもしているさ」

「すみません」

「いやいいんだ。俺なんかの都合に合わせず、妖夢の都合に合わせた方が良かろう」

 元より俺は部外者。妖夢が俺に気を遣う必要なんてまるでない。
 それなのに気遣うと言うのはこの子の優しさなのかね。

「すみません。私はもう行くので」

「ああ、気を付けてな」

「はい」

 そうして、彼女の愛用する二本の刀を手に、白玉楼を出ていく妖夢。
 ……人里か。
 恐らくは、俺が幻想郷に来たばかりの時に見た集落のことだろう。あれが人里か。『人』の里と言うことは、其処に居るのはやはり人間だろうか。
 はたまた、別の存在か。
 竹刀を振り、考える。
 人が居るのならば、俺は何時か訪れることになるだろう場所。
 何時までもこの白玉楼に世話になってはいられないからな。
 あくまでも、剣術の修行に来ている。修行を終えれば、此処を出ていく。此処を出ていったら、俺には行くあてが無い。人里とやらに行けば、何とかなるのか、ならないのか。
 ……知るか。その時の俺に任せるしか無い。今の俺が、そんなことを気にしても、今すぐに問題が解決するわけではない。
 何れにせよ、早めに白玉楼は出た方が良いだろう。
 長く居過ぎると、出られなくなってしまうから。
作品名:東方無風伝 4 作家名:国城 龍耶