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国城 龍耶
国城 龍耶
novelistID. 24182
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東方無風伝 4

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「御早う、風間」

 西行寺のそんな呼び掛けで、風を切って振られた竹刀が静止する。

「御早う、西行寺」

 振り返って、返事をする。
 其処には優雅に、だが何時も通りに立ち尽くす西行寺がいた。

「今日のお稽古は中止なのかしら?」

「ああ。なんでも人里に用があるとか」

 そう返事をして、また竹刀を縦に一閃。

「今起きたのか?」

「失礼しちゃうわね。そんな言い方じゃ、私が何時もお寝坊さんみたいじゃない」

「今の時間、まだ寝ている奴などいないだろう」

「起きている人達皆が早起きなだけよ」

 自分を正当化させるその小言に苦笑いを漏らしつつ、またも竹刀を一閃させるが、なんとも不恰好で、紫電は綺麗な線を作れなかった。
 いかん、どうやら西行寺のペースに飲み込まれているようで、このままではまともな素振りすら行えないだろう。
 ならば、と竹刀をぶら下げて、素振りを中断する。

「あら、止めてしまうの?」

「どこぞの暢気な亡霊さんが邪魔するからな。今は諦める他ないだろう」

「まぁ、躾けのなってない亡霊さんね。後でお仕置きしてしまいましょう」

 あくまでも、それは自分のことではないことにしたいみたいで、西行寺はどこぞの亡霊さんに対して怒りを露わにする。
 全く、西行寺らしいよ。

「ああ、そうだわ。忘れてたわ」

「ん? どうした」

「今日は宴会を開くのよ。此処で」

「宴会だと? ああ、それでか」

 それで妖夢は、宴会の準備をする為に人里に向かったのか。恐らくは食材を揃える為に。

「えーと、ひい、ふう、みい……八人ほど来る予定よ」

「客が来るのか。ああ、だから妖夢はあんなに忙しそうに」

 てっきり白玉楼の者だけで取り行うと思えば、客人が来るとは思わなんだ。

「あー、何処で隠れていようかなぁ」

「あら、貴方も参加するのよ」

「は?」

 宴会中は、邪魔になるだろうから何処かに行っていようかと思えば、西行寺の誘い。いや、もう西行寺の中では決定しているのだろう。

「いいじゃない別に。美味しい料理に美味しいお酒。どれも食べ放題よ」

「まぁ、それは魅力的だが」

 どうせ八人の客人は西行寺の友人だろう。そこに俺が紛れ込むと、少しばかり肩身が狭い。

「貴方も、私の友人よ」

 そう言えば、こう反論される。
 ……覚悟は決めるしかないのかなぁ。
作品名:東方無風伝 4 作家名:国城 龍耶