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国城 龍耶
国城 龍耶
novelistID. 24182
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東方無風伝 4

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「今日で白玉楼の春が終るのよ」

 西行寺のその言葉は唐突で、そのため直ぐに返事が出来なかった。

「……確か、霊夢の頭から採取した春、だったか?」

「ええ。だから、宴会を開こうと思ったの」

「成る程ね」

 今日で、この暖かな春とお別れ、か。
 そう思うと、少し寂しいような、切ないような、恋しいような。
 西行寺も似たような感覚を持ったのだろう。だから、この春を惜しむ為、踏ん切りをつける為に宴会を開こうと言うのだ。

「明日からは、寒い冬が訪れるのか」

「ええ。今年の冬は、何時もより一カ月程長くなるわ。一カ月も春だったのだから」

 ……幻想郷の四季というものは、今一つ理解しかねるな。
 一カ月分冬が長引く。それで次の春が一カ月分長くなる、と言う訳ではなく、一カ月分短く、それで正常な夏が来る。
 恐らくは、そう言うことだろう。季節はパズルと同じように、ばらばらになっても等しいのだろう。

「この白玉楼の桜も、今日で見納めか」

「そんなことは無いわよ。次の春に来れば、また何時でも見せてあげるわよ」

 それは、次の春にはもう俺が此処には居ないと言うことを暗示しているようだった。事実、俺はそれまでには白玉楼を去っているだろう。
 そのつもりであるのを西行寺は気付いているようで、それでも西行寺は止めようとしない。

「それじゃあ、その時は遠慮なく春でも借りて行こうかな?」

「その時は、貴方に三途の河を渡らしてあげるわ」

「おお怖い怖い」

「私に殺せない生き物なんて、数える程にしかいなくって」

「いるのかよ」

「あいつらには、私の能力が通じない。厄介な連中よ」

「能力?」

 そう言えば霊夢達が言っていたような。幻想郷に住む者は個々違った能力を持つと。

「西行寺の能力は、どんなものなんだ?」

「死を誘う程度よ。そう言う貴方は、どうかしら?」

「生憎と、未能力者」

 西行寺は俺が未能力者だと言うことに納得していなさそうな顔をしていたが、事実そうなのだから仕方が無い。
 しかしまぁ、死を誘う、ねぇ。
 それは、生きているモノを殺すことが出来るという解釈、で良いのかな?
 即ち彼女は生者には無敵ということでは?
 その能力が通じないモノが、この幻想郷にいる、ねぇ。
 それは遠巻きに不死者を現している。
 不死者も、この幻想郷に生きていると言うか……。
 全く、本当に不可思議ワールドだな、この幻想郷は。
作品名:東方無風伝 4 作家名:国城 龍耶